「安いOBD2スキャナーでコードは読めたのに、警告灯が消えない」「ABSやEPBの警告が、部品交換後も点いたままになる」——そんな経験はありませんか。普通のOBD2コードリーダーは故障コードを読むだけの機器で、センサーやアクチュエーターに命令を送って動かすことはできません。そのため、ABSのエア抜き、EPB(電動パーキングブレーキ)のメンテナンスモード切替、TPMSセンサーの再登録、各種リセットのような「作業そのもの」はできず、作業後に「本当に直ったか」をその場で確認する手段もありません。
この記事では、そうした「読むだけ」のOBD2では足りなくなった人向けに、センサー・アクチュエーターへ指令を送って動作確認までできる「双方向(アクティブテスト対応)スキャンツール」の選び方を、①やりたい作業→②対応車種・メーカー→③更新費→④価格帯、の順で判定していきます。基本のOBD2コードリーダーからまず試したい人は、こちらの記事もあわせて参考にしてください。
普通のOBD2と双方向スキャンツールの違い
普通のOBD2コードリーダーは、ECUが記録した故障コードを「読む」専用の機器です。一方、双方向(bi-directional)対応のスキャンツールは、ABSモジュールやEPBモジュールへ実際に指令を送り、ポンプを動かしたりモーターを作動させたりする「アクティブテスト」ができます。これにより、ABSのエア抜きやEPBのメンテナンスモード切替、各種センサーのリセット・再学習をご自身の手で行い、その場で正常に動いたかまで確認できるのが大きな違いです。
①やりたい作業で絞る
まず絞り込むべきは「やりたい作業は何か」です。ブレーキパッド交換のたびにEPBをメンテナンスモードへ切り替えたい人、ABSのエア抜きをしたい人、ホイール交換・タイヤローテーション後にTPMSセンサーを再登録したい人、オイル交換後のオイルリセットやSAS(ステアリングアングルセンサー)リセットまでやりたい人では、必要な機能数が変わってきます。公式に『アクティブテスト』対応を明記する本体4機種は、リセット機能28件程度のミドルクラスから、40件以上・アクティブテスト3000件以上に対応するフラッグシップまで幅があります。
②対応車種・メーカーで絞る
「全車対応」をうのみにせず、愛車のメーカー・年式が対応表に載っているかを公式サイトの車種対応表やPDFで確認するのが安全です。国産車メイン(トヨタ・日産・ホンダ・スバル等)か、輸入車(欧州・米国車)も診断したいかで、対応範囲が変わります。販売ページの「対応車種確認」リンクや、購入前のメーカーサポートへの問い合わせで、愛車の車種が対象かを事前に確認してください。
③更新費で絞る
ソフトウェア更新が有料か無料かは、長く使うほど効いてきます。本体4機種では、XTOOL D7Sが公式に「3年間無料アップデート」を明記しているほか、FOXWELL NT716は販売ページで無料(生涯無料)アップデートをうたっています。Autel MaxiCOM2機種は、無料期間・有料更新の年数が公式ページに明記がないため、購入前にメーカーサポートへ確認することをおすすめします。(参考枠のLAUNCH CRP123X V3.0は販売ページで無料アップデート、TOPDON ArtiDiag600Sは公式に「Free Lifetime Updates」をうたっています。)
④価格帯で絞る
公式に『アクティブテスト』対応を明記する本体4機種は、いずれも3万〜10万円台に収まります。同じ価格帯の中でも、Autel MaxiCOM MK808S(6万円台)はミドルクラス、FOXWELL NT716・Autel MaxiCOM MK900(8万〜9万円台)は機能数が増え、XTOOL D7S(9万円台)はCAN FD/DoIPなど新しい通信規格まで対応する最上位という位置づけです。1万〜3万円台でアクティブテストより基本のリセット機能だけで足りる人は、参考枠のLAUNCH CRP123X V3.0も検討対象になりますが、ABSエア抜き等の記載はあっても、アクティブテストの記載はない点に注意してください。
公式にアクティブテスト対応を明記する4機種
Autel MaxiCOM MK808S

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断対応システム | 全システム診断(Autel公式: Read/erase codes on all available systems) |
| リセット機能数 | 28以上(公式: SAS/サービスインターバル/EPB/DPF再生/インジェクター/バッテリー登録・リセット、販売ページ: ABSブリーディングも記載) |
| アクティブテスト | bi-directional Active Test対応(公式記載、回数非公開) |
| 更新 | 公式記載なし(インターネット経由の更新対応は公式記載) |
| 通信規格(CAN FD/DoIP) | 公式記載なし |
メナブランドの安心感で選ぶなら、Autelの中堅モデルです。
老舗ブランドAutelの製品を求める人向けです。Autel公式サイト(autel.com、2026-10-28確認)によれば、SAS(ステアリングアングルセンサー)リセット、サービスインターバルのリセット、EPBリセット、DPF再生、インジェクターのリセット、バッテリーの登録・リセットに対応し、bi-directional Active Testも実行できます。販売ページにはABSブリーディングも含まれると記載されています。
28以上のメンテナンス機能(販売ページ記載)を持ち、7インチ・1024×600のディスプレイ(Autel公式仕様)とAndroid 11で動作します。本体4機種の中では最も価格が抑えられており、ブランドの知名度が選定理由になります。
愛車の整備記録をプロ仕様の機器で管理したい人、将来的に複数台のメンテナンスに使い続けたい人に向いています。
無料アップデートの期間・有料更新の条件はAutel公式ページに明記がなく(Wi-Fi経由の更新対応のみ記載)、購入前にメーカーサポートへ確認することをおすすめします。
FOXWELL NT716


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断対応システム | エンジン/ABS/SRS/トランスミッション 4システム |
| リセット機能数 | 9件(ABSブリーディング・スロットルマッチング・EPB・オイル・SAS・TPMSリセット等) |
| アクティブテスト | 双方向アクティブテスト対応(回数非公開) |
| 更新 | 生涯無料アップデート(販売ページ記載) |
| 通信規格(CAN FD/DoIP) | 販売ページに記載なし |



更新費を気にせず長く使いたいなら、これが向いています。
双方向のアクティブテストを明確に打ち出している機種を探している人向けです。販売ページによれば、エンジン/ABS/SRS/トランスミッションの4システム診断と、ABSブリーディング・スロットルマッチング・EPBリセット・オイルリセット・SASリセット・TPMSリセットなど9件の機能、双方向アクティブテストに対応します。
5.5インチのタブレット型端末(Android 9.0、販売ページ記載)で、生涯無料アップデート(販売ページ記載)をうたっているのが特徴です。
ソフト更新費を気にせず長く使いたい人、EPB・ABS・TPMSの主要作業を1台でまとめたい人に向いています。
CAN FD・DoIPのような新しい通信規格への対応は販売ページに記載がなく、比較的新しい年式の車種を多く診断する予定がある人は、対応規格を購入前にメーカーへ確認してください。
Autel MaxiCOM MK900


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断対応システム | 全システム診断(OEレベル) |
| リセット機能数 | 40以上(販売ページ記載) |
| アクティブテスト | 3000以上(販売ページ記載) |
| 更新 | 公式記載なし(自動更新通知には対応) |
| 通信規格(CAN FD/DoIP) | 対応(Autel公式サイト) |



新しい車種まで見据えるなら、このクラスが候補です。
Autelのラインナップの中でさらに上位の機能を求める人向けのモデルです。Autel公式サイトによれば、8インチ・1280×800のディスプレイ(Android 11)で、DoIPとCAN FDを含む最新の通信規格に対応します。
販売ページでは40以上のリセット機能・3000以上のアクティブテストに対応するとされ、MK808Sからのアップグレード版として位置づけられています。4GB RAM・64GBストレージ・1.8GHzクアッドコア(Autel公式仕様)というハードウェアもMK808Sより強化されています。
複数のメーカー・年式の車を診断する機会が多い人、将来的に新しめの車種(DoIP・CAN FD対応車)まで見据えたい人に向いています。
無料アップデートの期間はAutel公式ページに明記がなく、価格も本体4機種中2番目に高いため、そこまでの機能が必要かは「①やりたい作業で絞る」で見極めてから選んでください。
XTOOL D7S
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断対応システム | 全システム診断(Full bidirectional controls) |
| リセット機能数 | 38以上のメンテナンスサービス(XTOOL公式記載) |
| アクティブテスト | 4000以上(XTOOL公式記載) |
| 更新 | 3年間無料アップデート(XTOOL公式記載) |
| 通信規格(CAN FD/DoIP) | 対応・10,000以上の車種(XTOOL公式記載) |



長く使う前提なら、更新費と対応規格で選んでください。
CAN FD・DoIPのような新しい通信規格まで含めて、長く使える1台を探している人向けの最上位モデルです。XTOOL公式サイト(日本語ページ)によれば、Full bidirectional controlsで4000以上のアクティブテスト、38以上のメンテナンスサービスに対応し、CAN FD・DoIPを含む10,000以上の車種に対応するとされています。


クランクシャフト再学習・ECUコーディング・キープログラミングまで対応範囲が広く、3年間無料アップデート(XTOOL公式記載)が付くのも特徴です。本体4機種中最も高価格帯ですが、更新費の面では長期的な安心材料になります。
複数ブランド・複数年式を本格的に診断したい人、新しい車種(CAN FD/DoIP対応車)を今後も扱う予定がある人に向いています。
在庫は即納ではないため、急ぎで必要な場合は到着までの期間を購入前に確認してください。機能が多い分、はじめて双方向スキャンツールを使う人には操作を覚えるまで時間がかかる可能性があります。
参考: アクティブテスト対応が公式に確認できない2機種
以下の2機種は、公式サイト・公式資料に『アクティブテスト』『双方向』という言葉の記載が確認できませんでした。ABSブリーディングなど指令送信を伴う特殊機能はありますが、本記事の判定基準(センサー・アクチュエーターへ指令を送るアクティブテスト)を満たすと明言できないため、上記4機種とは別枠の参考情報として扱います。
LAUNCH CRP123X V3.0


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断対応システム | エンジン/トランスミッション/ABS/SRS 4システム |
| リセット機能数 | 7件(オイル・SAS・スロットル・DPF強制再生・ブレーキ・バッテリー・ABSエア抜き) |
| アクティブテスト | 記載なし(公式ページ未到達、販売ページにも記載なし) |
| 更新 | 無料アップデート(期間は販売ページに記載なし) |
| 通信規格(CAN FD/DoIP) | 販売ページに記載なし |



アクティブテストの記載はありませんが、基本のリセット機能だけなら最安です。
本機は公式サイト(cnlaunch.com等)に製品個別ページが見つからず、販売ページの機能一覧にも『アクティブテスト』『双方向』という言葉の記載がありません。本記事が判定基準とする「センサー・アクチュエーターへ指令を送るアクティブテスト」が公式に確認できないため、上記4機種とは別枠の参考情報として掲載します。
エンジン/トランスミッション/ABS/SRSの4システム診断と、オイルリセット・SASリセット・スロットルリセット・DPF強制再生・ブレーキリセット・バッテリーリセット・ABSエア抜きの7リセット機能には対応します(販売ページ記載)。価格は参考枠・本体4機種を通じて最も抑えられています。
「アクティブテストまでは要らず、ABSエア抜きなど基本のリセット機能だけ安く試したい人」向けです。EPB・TPMSリセットは販売ページの機能一覧に記載がありません。
TOPDON ArtiDiag600S(AD600S)


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断対応システム | エンジン/ABS/SRS/トランスミッション 4システム |
| リセット機能数 | 9件(オイル・ブレーキ・SAS・BMS・ETS・DPF・TPMSの各リセット、ABSブリーディング、インジェクターコーディング、TOPDON公式Sell Sheet記載) |
| アクティブテスト | 記載なし(公式Sell Sheetに『アクティブテスト』『双方向』の語なし) |
| 更新 | 生涯無料アップデート(公式記載: Free Lifetime Updates) |
| 通信規格(CAN FD/DoIP) | CAN-FD対応(公式記載)、DoIPは公式記載なし |



ABSブリーディングはできますが、『アクティブテスト』とは明記されていません。
TOPDON公式Sell Sheet(web-file.topdon.com、2026-10-28確認)を確認したところ、オイル・ブレーキ・SAS・BMS・ETS・DPF・TPMSの各リセット、ABSブリーディング、インジェクターコーディングの9件のメンテナンス機能は明記されていますが、『アクティブテスト』『双方向』という言葉自体の記載はありませんでした。ABSブリーディングは指令送信を伴う機能ですが、公式にその用語で位置づけられていないため、上記4機種とは別枠の参考情報として掲載します。


5インチ・1280×720のディスプレイ(Android 11.0、公式仕様)で、公式に『Free Lifetime Updates(生涯無料アップデート)』と明記されています(商品画像の表記とも一致)。


EPB・TPMSリセットまで含めて特殊機能を1台でこなしたいが、本記事の判定基準である『公式にアクティブテストと明記された機種』にはこだわらない人向けです。
専用アクセサリー
CarAngels OBD2 スイッチ付き延長フラットケーブル 60cm


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類 | OBD2 16ピン延長フラットケーブル(スイッチ付き) |
| 長さ | 60cm |
| 対応 | OBD2 16ピン準拠の診断機全般(販売ページ記載) |
今回紹介した機種はいずれもOBD2 16ピンコネクタに接続するタイプのため、助手席側などコネクタの位置が狭い車種では延長ケーブルがあると作業しやすくなります。スイッチ付きのタイプなら、診断機を挿したままON/OFFを切り替えられ、抜き差しの手間を減らせます(販売ページ記載)。
アクティブテスト・EPB・ABSエア抜きをする前に
アクティブテストやABSエア抜き・EPBのメンテナンスモード切替は、センサー・アクチュエーターへ実際に指令を送る操作のため、手順を誤ると車両が動いたり部品を傷めたりする恐れがあります。今回紹介した機種のひとつXTOOL D7Sの公式ユーザーマニュアル(XTOOL D7S User Manual v1.5、xtoolglobal.com、確認日2026-10-28)には、安全上の注意として「車両を確実に駐車し、ニュートラルまたはP/Nレンジを選択して、エンジン始動時に車両が動かないようにすること(Make sure the car is securely parked, Neutral is selected or the selector is at the P or N position to prevent the vehicle from moving when the engine starts.)」と明記されています。
同マニュアルにはあわせて「テスト中は電源を切ったり、コネクタを抜いたりしないこと。ECUや診断機を損傷する恐れがある(Do not switch off the power or unplug the connectors during testing. Doing so may damage the ECU and/or the Diagnostic Computer.)」とも記載があります。使用する機種・車両の取扱説明書・修理書の注意事項に従って作業し、断定的な整備手順をうのみにせず、不安があれば整備工場に依頼してください。
まとめ
普通のOBD2で「読むだけ」では直せなかった・確認できなかった人は、①やりたい作業→②対応車種・メーカー→③更新費→④価格帯の順で絞り込めば、公式にアクティブテスト対応を明記する本体4機種のどれが用途に合うか判断しやすくなります。ブランドの知名度や価格重視ならAutel MaxiCOM MK808S、EPB・ABS・TPMSの主要作業を更新費なしでまとめたいならFOXWELL NT716、新しい車種まで見据えるならAutel MaxiCOM MK900、更新費と対応規格の両方を長期的に重視するならXTOOL D7Sが候補になります。アクティブテストにはこだわらず基本のリセット機能だけで十分なら、参考枠のLAUNCH CRP123X V3.0・TOPDON ArtiDiag600Sも検討してください。













































