第二種電気工事士の技能試験は、指定された工具を受験者が用意して持参する試験です。工具セットを買うか、必要な工具だけを単品でそろえるか、最初に迷うところだと思います。
メナ指定工具は6種類だけですが、圧着工具だけは規格と対応サイズを見落とすと欠陥の対象になります。
この記事では、一般財団法人電気技術者試験センターが公開している受験案内の記載をもとに指定工具の範囲を確認し、セットで揃える場合と、圧着工具など単品で買い足す場合のそれぞれの候補をメーカー公式の記載で比較します。技能試験向けの工具おすすめ6選として、セットと単品のどちらで揃えるか迷っている人に向けて整理しました。価格は変動するため、購入前に各商品のリンク先で最新の表示をご確認ください。
指定工具は6種類|試験センター公式の記載
電気技術者試験センターの受験案内には、技能試験で持参すべき指定工具として次の6種類が示されています。
①ペンチ ②ドライバー(プラス・マイナス) ③電工ナイフ ④スケール ⑤ウォーターポンププライヤー ⑥リングスリーブ用圧着工具(JIS C9711:1982・1990・1997適合品)
同じ受験案内には、リングスリーブ用圧着工具について「JIS C9711に適合する圧着マークが刻印されることが求められる」「握りの部分の色が黄色のもの」「上記以外の圧着工具で刻印がない場合は欠陥の対象となる」という記載があります。圧着工具だけは、持っていれば良いわけではなく、規格に適合したものを選ぶ必要があるということです。
また、電動工具(電動ドライバーなど)、改造した工具、デジタル表示機能付きの工具は使用できないとも明記されています。VVFストリッパーのような現場で使われる便利な工具は、指定工具ではなく任意で使える工具という位置づけです。
セットで揃えるか、単品で揃えるか
指定工具6種類を一度にそろえたい場合は、基本工具一式のセットが近道です。すでに現場用の工具を持っていて、圧着工具や電工ナイフだけ買い足したい場合は、単品で選んだ方が無駄がありません。まずはセットの2候補を見ていきます。
ホーザン(HOZAN) DK-28|基本工具一式+VVFストリッパー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| セット内容 | プラスドライバー⊕No.2/マイナスドライバー⊖5.5/ペンチ P-43-175/ウォーターポンププライヤー P-244/圧着工具 P-738/VVFストリッパー P-958/電工ナイフ Z-680/布尺 SB-67 |
| 付属品 | ツールポーチ、第二種技能試験対策ハンドブック |
| サイズ | 300(W)×100(H)×50(D)mm |
| 重量 | 1.3kg |
| 原産国 | 日本(JAPAN) |
| 指定工具6種のカバー状況 | 6種(ペンチ・ドライバー・電工ナイフ・スケール=布尺・ウォーターポンププライヤー・圧着工具) |



DK-28は指定工具6種類をそのままセットにした王道タイプです。初めて工具を買う人向けです。
ホーザンの技能試験対策セットの中でも定番の構成で、指定工具6種類に加えてVVFストリッパーが入っています。圧着工具は後述するP-738が付属し、リングスリーブの小(1.6×2を含む)・中に対応します。


公式ページには「第二種電気工事士技能試験の候補問題全13問と技能試験のポイントを解説した第二種技能試験対策ハンドブック付」と記載されています。デメリットは、付属のP-738が小・中サイズまでの対応のため、大サイズのリングスリーブも用意したい場合は後述のP-77を単品で買い足す必要があることです。


ベッセル(VESSEL) DKS-9|電気工事士技能試験用工具セット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| セット内容 | 圧着工具(リングスリーブE用)〈小(1.6×2)・小・中・大〉JIS規格適合品/ボールグリップドライバー No.220(+2×100・-5.5×100)/電工アジャストナイフ No.DAK-1/ウォーターポンププライヤー(230mm)/VA線ストリッパー〈VVF・EM-EEF 1.6mm×2芯3芯・2.0mm×2芯3芯〉/偏芯強力ペンチ(175mm)/コンベックスルール(3m・ロック機能付き) |
| 付属品 | 収納ケース(W200×H260mm、ベルト部除く) |
| サイズ | 箱サイズ330×180×100mm |
| 重量 | 公式記載なし |
| 原産国 | 公式記載なし |
| 指定工具6種のカバー状況 | 6種(ペンチ=偏芯強力ペンチ・ドライバー・電工ナイフ=電工アジャストナイフ・スケール=コンベックスルール3m・ウォーターポンププライヤー・圧着工具) |



DKS-9は合格後も現場で使い続けられる工具を選んだセットです。買い替えたくない人向けです。
ベッセルの技能試験用セットで、特設ページは「プロが現場で使う工具を、試験の指定仕様で厳選。」と説明しています。電工ナイフは刃の出代を調整できるスライド式の電工アジャストナイフで、電工ナイフを現場でも使い続けたい人に向きます。


DK-28との違いは、スケールがコンベックスルール(金属製のロック付きメジャー)である点と、圧着工具が最初から小・中・大の3サイズに対応している点です。特設ページには「購入者特典動画で試験のポイントが学べる」と記載されています。デメリットは、本体のサイズ・重量の公式記載がDK-28より少ないことです。


2つのセットの大きな違いは、付属する圧着工具の対応サイズと、スケールの種類です。DK-28は圧着工具が小・中サイズまでのP-738相当、DKS-9は小・中・大まで対応します。試験センターの受験案内は圧着工具について「〇・小・中・大の刻印が明確にでるものを用意してください」と案内しているため、大サイズの圧着工具を用意したい場合はDKS-9か、DK-28に後述のP-77を買い足す方法のどちらかになります。
圧着工具だけを単品で買い足す・差し替えるなら
すでに他の指定工具を持っている人や、セットに付属する圧着工具のサイズを変えたい人は、圧着工具だけを単品で選びます。選ぶ基準は、JIS C9711への適合と、対応するリングスリーブのサイズです。
ホーザン(HOZAN) P-738|圧着工具(小・中)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規格 | JIS C9711適合品・成形確認機構付 |
| 対応サイズ | 小(1.6×2を含む)・中 |
| 全長 | 202mm |
| 重量 | 290g |
| 原産国 | 日本(JAPAN) |



P-738は全長202mm・290gで、次のP-77(286mm・430g)より小型軽量です。
公式ページには「適応サイズ:小(1.6×2を含む)・中」「成形確認機構付」と記載されています。


注意点は、大サイズのリングスリーブには対応しないことです。試験センターの受験案内は圧着工具について「〇・小・中・大の刻印が明確にでるものを用意してください」と案内しているため、大サイズも用意したい場合は次のP-77を選んでください。


ホーザン(HOZAN) P-77|圧着工具(小・中・大)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規格 | JIS C9711適合品・成形確認機構付 |
| 対応サイズ | 小(1.6×2を含む)・中・大 |
| 全長 | 286mm |
| 重量 | 430g |
| 原産国 | 日本(JAPAN) |



大サイズまで一本でカバーしたいならP-77です。
公式ページの記載どおり、小・中・大の3サイズに対応し、成形確認機構も備えています。全長286mm・430gで、P-738(202mm・290g)より一回り大きくなります。


試験センターの受験案内が案内する「〇・小・中・大の刻印が明確にでるものを用意してください」という範囲に、これ1本でそのまま対応できます。


アクセサリー(買い足し)2点|時短マルチツールと練習用部材
ここからの2点は指定工具ではありません。工具一式をそろえた後に、必要に応じて買い足す位置づけのアイテムです。
ホーザン(HOZAN) DK-200|合格マルチツール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用途 | 7つの作業をサポートするマルチツール(個別の作業名は公式記載なし) |
| 位置づけ | 指定工具の代替にはならない補助ツール(単品の指定工具を別途用意した上で使う時短アイテム) |



DK-200は指定工具の代わりにはなりません。本番の持ち物を減らす目的では使わないでください。
公式ページは「これひとつで7つの作業を実現」と説明していますが、個別の作業内容までは記載されていません。指定工具をひとつも減らせるわけではなく、練習や作業の一部を時短する補助ツールとして位置づけられています。


本体価格が千円を切るため、練習の回数が多い人は、指定工具のポーチに1つ入れておくと細かい作業の時短になります。


ホーザン(HOZAN) DK-51|技能試験練習用部材(1回用)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用途 | 候補問題13問に対応する第二種電気工事士技能試験 練習用部材(1回用) |
| 内容 | VVFケーブルなどの電線材料と、ブレーカー・コンセント・スイッチ・コンジット・コネクタなどの器具(器具は再利用を前提、リングスリーブは除く) |
| 重量 | 6.4kg |
DK-51は工具ではなく、候補問題を練習するための電線・器具の材料セットです。公式ページには「候補問題13問が全て練習できる部材セット」と記載されています。


器具類は繰り返し使える前提ですが、リングスリーブなど一度圧着すると再利用できない部材は、練習する回数分だけ用意しておく必要があります。


6点の比較表
位置づけと指定工具のカバー状況を一覧にしました。価格はメーカー公式ページに税込で記載されている金額です(販売ページの実売価格とは異なる場合があります)。
| 商品 | メーカー | 位置づけ | 指定工具のカバー | 参考価格(メーカー公式・税込) |
|---|---|---|---|---|
| DK-28 | ホーザン | 基本工具一式セット | 6種(スケール=布尺) | 22,220円 |
| DKS-9 | ベッセル | 基本工具一式セット | 6種(スケール=コンベックスルール3m) | 公式ページに価格記載なし |
| P-738 | ホーザン | 圧着工具(小・中) | 圧着工具のみ | 7,920円 |
| P-77 | ホーザン | 圧着工具(小・中・大) | 圧着工具のみ | 8,569円 |
| DK-200 | ホーザン | 補助のマルチツール | 対象外(補助用途) | 814円 |
| DK-51 | ホーザン | 練習用部材(消耗品) | 対象外(工具ではない) | 42,900円 |



セットか単品かで迷ったら、まず圧着工具の対応サイズを基準にして、残りをセットで埋める順番で考えると選びやすくなります。
こんな人はこれ|選び分け
工具を何も持っていない、初めて技能試験を受けるという人は、圧着工具が小・中・大まで対応するDKS-9か、DK-28に単品のP-77を買い足す組み合わせを選ぶと、試験センターの受験案内が案内する「〇・小・中・大」の範囲にそのまま対応できます。
現場用の電工ナイフやドライバーなど一部の指定工具をすでに持っている人は、セットを買わず、圧着工具のP-738またはP-77だけを単品で選ぶ方が無駄がありません。
工具をそろえたら、候補問題の練習用にDK-51のような部材も必要になります。合格までの取り組み方や練習の進め方は、第2種電気工事士の実技対策の体験記事でも紹介しています。
まとめ|圧着工具のサイズを軸に選ぶ
第二種電気工事士の技能試験で必須の指定工具は6種類で、そのうちリングスリーブ用の圧着工具だけがJIS C9711適合という規格の条件を持ちます。セットを選ぶ場合も単品で買い足す場合も、まず圧着工具の対応サイズを基準にすると選びやすくなります。
電線を剥く作業を電動化したい人は充電式電動ワイヤーストリッパーの比較記事、端子の圧着で別の工具が必要な人はエンドスリーブ圧着工具の比較記事や油圧圧着工具の比較記事も参考にしてください。










































