この記事は、溶接工・溶接初心者向けに、溶接周辺工具11選を、保護具・後処理・固定・アースのおすすめとして用途別に解説します。溶接を始めたばかりの人も、周辺装備を見直したい現役の溶接工も対象です。
溶接機本体のほかに、目を守る溶接面、手を守る手袋、スラグを落とすハンマー、母材を固定するクランプやマグネット、電気を通すアース、点火と研削の道具が要ります。保護具、後処理、固定、アース、点火・研削の順に、用途ごとに紹介します。
数値と仕様は、各商品の販売ページに書かれている内容をもとにしています。載っていない項目は「販売ページに記載なし」としました。
SUZUKIDとTRUSCOとは|溶接周辺工具の2ブランド
SUZUKID(スズキッド)は溶接面、手袋、ハンマー、アース、ケーブルなどの溶接用品を扱うブランドです。この記事では保護具から後処理、電気まわりまでを取り上げます。
TRUSCO(トラスコ中山)は工場や現場向けの工具を扱うブランドで、この記事ではブラシ、クランプ、マグネット、スパークライターを取り上げます。
保護具・後処理・固定の溶接工具7選
保護具、後処理、固定の順に7点を紹介します。各商品の直下に、販売ページ記載のスペック表を置きました。
SUZUKID 自動遮光溶接面 アークビュー AVW-200

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | AVW-200 |
| 遮光度 | #9〜#13(遮光前#3.5) |
| 遮光の速さ | 1/25,000秒 |
| 対応溶接 | TIG・MIG・MAG・MMA(手棒溶接) |
| 電源 | 補助用ソーラー電池+CR2032電池×1個 |
| 本体質量 | 468g |
メナ電池なしでは動かない。CR2032の予備を用意しておこう。
アーク光を感知した瞬間に暗くなる自動遮光タイプの溶接面。販売ページの記載では、遮光度は#9〜#13、遮光前は#3.5、遮光までの時間は1/25,000秒です。TIG・MIG・MAG・MMA(手棒溶接)に対応します。


電源は補助用のソーラー電池とCR2032電池1個の併用で、電池が要らないわけではありません。販売ページには、5A以下の溶接作業では反応しない場合があるとの注意書きもあります。低電流のTIGを多用するなら、この点を先に確認してください。感度と戻り速度はダイヤルで無段階に調整でき、グラインドモードで溶接後の研磨にも切り替えられます。
SUZUKID 溶接用本革手袋 裏出し仕様 P-106


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | P-106 |
| 素材 | 本革(裏革を表面に使用) |
| 縫製 | 内縫い |
| 指 | 5本指 |



手袋のサイズだけは、商品ページで必ず確認しておきたい。
革は熱を受けると表革の側へ縮む性質があります。P-106は裏革を表面に使い、縮みやすい表革へ熱が伝わりにくくして、革の縮みを軽減する設計だと販売ページに書かれています。


縫製は内縫いで、縫い糸の耐久性を高めたとの記載があります。手と手袋の隙間が少なくなるよう裏革を使っている点も特徴です。サイズ表記は販売ページに見当たらないため、購入前に商品ページで確認してください。
SUZUKID チッピングハンマー P-44
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | P-44 |
| 構成 | 溶接用ハンマー |
| 用途 | 販売ページに記載なし |
| 全長 | 販売ページに記載なし |
溶接後に固まったスラグ(溶接かす)を叩いて落とすための溶接用ハンマーです。販売ページに書かれている情報は「溶接用ハンマー」だけで、全長や質量は載っていません。


後述のP-74はハンマーとワイヤブラシが一体になったタイプです。叩いて落とす作業だけを軽く済ませたいならP-44、続けてブラシで清掃したいならP-74、と使い分けられます。
SUZUKID チッピングハンマー&ワイヤブラシ P-74
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | P-74 |
| 構成 | 片側ハンマー・片側ブラシ |
| 用途 | スラグやスパッタの除去、サビ落とし |
| 全長 | 販売ページに記載なし |



叩いたあと、持ち替えずにそのままブラシ。これが1本の利点だ。
片側がハンマー、反対側がワイヤブラシの1本です。販売ページには、スラグやスパッタの除去、サビ落としに使うと書かれています。


スラグを叩いたあと、持ち替えずにブラシで表面を掃けるのが利点です。工具の本数を減らしたい人や、持ち歩く道具を絞りたい人に向きます。


TRUSCO フラワー型ワイヤーブラシ 30WF-6


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | 30WF-6 |
| 外径 | 30mm |
| 毛材・線径 | ワイヤ鋼線・0.3mm |
| 毛丈 | 10mm |
| 軸径 | 6mm |
| 使用回転数の上限 | 3,000rpm |



使う電動工具の回転数を、買う前に確認しよう。
軸付きのワイヤーブラシです。外径30mm、毛丈10mm、軸径6mmで、毛材は鋼線です。


注意したいのは使用回転数の上限で、販売ページには3,000rpmと書かれています。後述のGA402DZは回転数が毎分11,000回転なので、この組み合わせでは使えません。取り付ける電動工具の回転数が、ブラシの使用回転数の上限以下かを必ず確認してください。


TRUSCO マルチクランプ TUM-105PM
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | TUM-105PM |
| 全長 | 405mm |
| 最大口開き | 265mm |
| フトコロ | 140mm |
| 質量 | 3kg |
母材を挟んで仮固定するクランプです。販売ページの記載では、全長405mm、最大口開き265mm、フトコロ140mmです。


質量は3kgあり、軽い小型クランプとは性格が違います。大きめの材料を挟む場面を想定した寸法なので、小物の位置決めが中心なら、次に紹介するマグネットのほうが取り回しは楽です。


TRUSCO 溶接用マグネット TMLD-600
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | TMLD-600(大) |
| 吸着力 | 180N |
| マグネット | ネオジム磁石 |
| 寸法 | 幅110×奥行20×高さ165mm |
鉄の板を決まった角度で押さえておく溶接用マグネットです。吸着力は180N、磁石はネオジム、本体はスチールと書かれています。同じシリーズに小型のTMLD-300(吸着力90N)もあります。保持角度は販売元ごとに記載が異なるため、ここでは載せません。


吸着するのは鉄系の材料です。ステンレスの一部やアルミなど磁石が付かない材料は、先ほどのクランプで押さえます。
アクセサリー|アース・点火・研削のおすすめ4点
ここからは、アースケーブル、マグネット式アース、点火用のライター、研削用のグラインダーを紹介します。
SUZUKID アースクリップ付き溶接ケーブル CC-460
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | CC-460 |
| ケーブル | 22Sq×10m |
| 端子 | R22-10端子付き(SEC-300) |
| 付属 | アースクリップ |
アースクリップが付いた溶接用ケーブルです。販売ページの記載は、22Sq×10m、R22-10端子付きです。


溶接機側の端子と合うかが選ぶ条件です。ケーブルの太さと長さが作業に足りるか、手持ちの溶接機の端子形状に合うかを、型番で照合してから買ってください。
SUZUKID マグアース 200 P-740


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | P-740 |
| 吸着力 | 294N(パッケージ記載) |
| 対応出力 | 200Aまで(200A以上では使用不可) |
| 固定方式 | マグネット式(スイッチ切替) |
| 用途 | 壁面・曲面のパイプなどへの固定 |



200A超の溶接機では使わない。出力の確認が先だ。
クリップで挟みにくい場所にアースを取るための、マグネット式のアースです。販売ページでは、壁面や曲面のあるパイプにも固定でき、スイッチをオフにすれば鉄粉が付きにくいと説明されています。


対応は200A出力のモデルまでで、200Aを超える出力では使用しないよう明記されています。溶接機の最大出力を確認してから選んでください。


TRUSCO 溶接用スパークライター TWP-SL


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | TWP-SL |
| 全長 | 185mm |
| 質量 | 70g |
| 用途 | 販売ページに記載なし |
ガス溶接・ガス切断のトーチに火を付けるための道具です。販売ページに載っている寸法は、全長185mm、質量70gです。


点火にはこうした専用品を使い、ライターやマッチは使わないのが基本です。消耗品なので、替え石の入手性も購入前に見ておくと安心です。


マキタ GA402DZ 充電式ディスクグラインダー 18V


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | GA402DZ(本体のみ) |
| 電源 | 直流18V |
| 回転数 | 11,000min-1 |
| 砥石寸法 | 外径100mm・厚さ4mm・内径15mm |
| 質量 | 2.1kg |



バッテリーと充電器は別売。買い忘れに注意だ。
溶接前の母材の研削やバリ取り、溶接後のビード仕上げに使う充電式のグラインダーです。販売ページの記載では、電源は直流18V、回転数は11,000min-1、砥石は外径100mm、質量は2.1kgです。


バッテリーと充電器は別売です。マキタの18Vバッテリーを持っているなら本体だけで始められます。先に紹介した30WF-6は使用回転数の上限が3,000rpmのため、このグラインダーには付けられません。


溶接工具の選び方|用途と安全の確認点で選ぶ
専用品を用途ごとに選び、特に保護具は価格より仕様を優先して確認します。下の表は、用途ごとの該当商品と確認点です。
| 用途 | 該当商品 | 購入前の確認点 |
|---|---|---|
| 目の保護 | AVW-200 | 遮光度#9〜#13、5A以下で反応しない場合がある点 |
| 手の保護 | P-106 | 本革であること、サイズは商品ページで確認 |
| スラグ除去 | P-44 / P-74 | 叩くだけならP-44、ブラシも使うならP-74 |
| ブラシ清掃 | 30WF-6 | 使用回転数の上限3,000rpm以下の工具で使う |
| 母材の固定 | TUM-105PM / TMLD-600 | 磁石が付く材料はマグネット、付かない材料はクランプ |
| アース | CC-460 / P-740 | ケーブルの太さ・端子、200A以下の出力か |
| ガス点火 | TWP-SL | 専用品を使い、ライターやマッチは使わない |
| 研削 | GA402DZ | バッテリー・充電器が別売 |
最初に揃える順番は、保護具(溶接面・手袋)、スラグを落とすハンマー、固定用のクランプとマグネットです。アースと点火・研削の道具は、手持ちの溶接機や作業内容に合わせて足します。
よくある質問
固定遮光面と自動遮光面の違いは?
固定遮光面は常に暗い状態のまま使うため、溶接前に面を上げて位置を決め、面を下ろして点弧します。自動遮光面は、アーク光を感知して暗くなり、作業の合間は明るいままです。位置決めのたびに面を上げ下げしなくて済みます。
30WF-6はGA402DZに付けられますか?
付けられません。30WF-6の使用回転数の上限は販売ページで3,000rpmとされ、GA402DZの回転数は11,000min-1です。ブラシの使用回転数の上限を超える工具では使わないでください。
GA402DZはバッテリーと充電器が付いてきますか?
付いていません。販売ページに「バッテリ充電器別売」と書かれています。マキタの18Vバッテリーと充電器を別に用意してください。


























