メナどうも、機械と電気の両方をこなすハイブリッドエンジニア、メナ(@menachite)です。今回はクランプメーターの比較です。停電させずに電流を測定したい電気工事士・設備保全担当者向けにまとめました。
クランプメーターは、既存の非接触検電器(電圧の有無を確認する道具)や検相器(三相電源の相順を確認する道具)とは測定対象が異なります。検電器・検相器が「電圧の有無」「相順」を確認するのに対し、クランプメーターはケーブルに挟むだけで実際に流れている「電流の大きさ」を停電させずに測定できるのが最大の特徴です。
今回はAC電流専用3製品(FLUKE 302+・HIOKI 3280-10・共立電気計器KEW2200)、AC/DC両対応1製品(三和電気計器DCM400AD)、漏れ電流測定専用1製品(共立電気計器MODEL2431)の計5製品を比較しました。電流測定範囲・AC/DC対応・価格帯の3軸で見ていくと、どんな現場に合うかが見えてきます。
クランプメーターは1台あると通電中の設備でも安全に電流値を確認でき、過負荷や漏電の早期発見に役立ちます。ただしAC専用モデルで直流回路を測ろうとしても測定できないなど、用途を間違えると「そもそも測れない」というミスマッチが起きるので、測定対象に合った1台を選ぶことが大切です。
結論:目的別おすすめ早見表
先に結論です。「海外ブランドで測定器を揃えたい」ならFLUKE 302+、「大電流の動力線を扱う」ならHIOKI 3280-10、「狭い配電盤で作業する」なら共立電気計器KEW2200を選べば間違いありません。太陽光・蓄電池のDC回路を扱うなら三和電気計器DCM400AD、絶縁劣化・漏電点検が必要なら共立電気計器MODEL2431が候補になります。
| 製品 | 電流測定範囲 | AC/DC対応 | 価格(税込目安) | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| FLUKE 302+ | AC最大400A | ACのみ | ¥6,490 | 海外ブランドで揃えたい人 |
| HIOKI 3280-10 | AC最大1000A | ACのみ | ¥10,949 | 大電流の動力線を扱う人 |
| 共立電気計器 KEW2200 | AC最大1000A | ACのみ | ¥8,808 | 狭い配電盤で作業する人 |
| 三和電気計器 DCM400AD | AC/DC各400A | AC/DC両対応 | ¥22,177 | 太陽光・蓄電池のDC回路を扱う人 |
| 共立電気計器 MODEL2431 | AC20mA〜200A | 漏れ電流専用 | 価格変動(要確認) | 絶縁劣化・漏電点検をしたい人 |
クランプメーターおすすめ5選
FLUKE(フルーク) AC400A クランプメーター【国内正規品】 FLUKE-302+(プラス)



海外の現場機器でもおなじみのFLUKEブランドなので、他の測定器をFLUKEで揃えている電気工事士にはブランド統一の意味でも選びやすいです。
FLUKE 302+は、測定器の世界的ブランドFLUKEが手掛けるAC専用クランプメーターです。AC電流測定は最大400A対応で、日々の電気メンテナンス業務に十分な測定範囲を備えています。TL75ハードポイントテストリードセットが付属し、テストリードとプローブを1つのユニットで扱える利便性があります。


CAT IV 300V/CAT III 600Vの安全規格に対応し、コンパクトなボディで頑丈さと使いやすさを両立しています。ジョウ開口部は30mmで、一般的な配線の電流測定に幅広く対応します。


HIOKIや共立電気計器といった国内メーカーであるのに対し、FLUKEは海外の測定器総合ブランドです。他の測定器をFLUKEブランドで揃えている電気工事士・設備保全担当者にとって、ブランドを統一できる点が魅力です。
HIOKI(日置電機) クランプオンハイテスタ 3280-10





AC電流1000Aまで測れるので、動力線のような大電流回路でも余裕を持って測定できるのは現場で使っていて安心感があります。
HIOKI 3280-10は、国内計測器メーカー最大手HIOKIのクランプオンハイテスタです。AC電流測定は最大1000A対応で、FLUKE 302+の400Aより広い測定範囲を持ちます。AC/DC電圧600V・抵抗41.99MΩまで測定でき、平均値整流(MEAN)方式で最大4199カウントの表示分解能を備えています。


FLUKE 302+と同じくAC電流専用で直流電流測定には対応しませんが、国内メーカーならではの信頼性と、電気設備の点検・保守で広く実績のあるブランドという安心感があります。


本格的な電気工事・設備保全の現場で長年使われてきたHIOKIブランドの定番モデルです。動力線など大電流を扱う機会が多い現場、大手メーカーブランドで揃えたい人に向いています。
共立電気計器(KYORITSU) ACデジタルクランプメータ KEW2200



ティアドロップ型の薄いセンサ部なので、配線が密集した分電盤の奥まった場所でもクランプを差し込みやすいのが使ってみての実感です。
共立電気計器KEW2200は、国内の電気計測器メーカー共立電気計器のACデジタルクランプメータです。AC電流測定は最大1000A対応でHIOKI 3280-10と同等クラス、被測定導体径は最大φ33mmまで対応します。


薄く細いティアドロップ型のセンサ部が特徴で、配線が密集した狭い場所でもクランプを挟みやすい形状です。電圧・抵抗レンジのテスタ機能も搭載しており、1台でクランプメーターとテスターの両方の役割をこなせます。
価格はHIOKI 3280-10よりやや手頃な水準です。狭い配電盤内での作業が多い電気工事士や、テスタ機能も合わせて使いたい人に向いたモデルです。


三和電気計器(SANWA) DC/AC両用デジタルクランプメータ DCM400AD



これまでの3製品がAC電流専用だったのに対し、DCM400ADは直流電流も測れるので、太陽光発電やバッテリー回路の点検にはこの1台が必須です。
三和電気計器DCM400ADは、これまで紹介したFLUKE 302+・HIOKI 3280-10・共立電気計器KEW2200がすべてAC電流専用だったのに対し、交流(AC)・直流(DC)の両方の電流を測定できるクランプメーターです。AC/DC電流とも40/400Aの2レンジ、AC/DC電圧は400/600Vまで対応します。


太陽光発電システムのDC回路やバッテリー・蓄電池回路など、直流電流の測定が必要な現場では、AC専用のクランプメーターでは対応できません。DCM400ADはこうした直流測定ニーズに対応できる数少ない選択肢です。
価格は5製品中もっとも高額ですが、AC/DC両対応という機能の広さを考えると納得の水準です。太陽光発電・蓄電池関連の点検業務が多い人にとって、他のAC専用モデルでは代替できない必須の1台になります。


共立電気計器(KYORITSU) MODEL2431 漏れ電流・負荷電流測定用クランプメータ



これまでの4製品が負荷電流(通常の使用電流)を測るのに対し、MODEL2431はmA単位の微小な漏れ電流まで測れるので、絶縁劣化点検の専門機として役割がはっきり違います。
共立電気計器MODEL2431は、これまで紹介した4製品(負荷電流測定用)とは異なり、漏れ電流(絶縁劣化などで生じるわずかな電流)と負荷電流の両方を測定できる専用クランプメータです。AC20mA/200mA/200Aの3レンジ切換に対応し、mA単位の微小電流から通常の負荷電流まで1台でカバーします。


被測定導体径は最大φ24mmとコンパクトで、周波数切替機能も搭載しています。漏電の予兆となる微小な漏れ電流を検知することで、絶縁劣化の早期発見や漏電ブレーカーの誤作動原因調査に活用できます。
通常の負荷電流測定だけであれば他の4製品でも十分ですが、漏れ電流の定期点検・絶縁診断が必要な設備保全担当者にとっては、この専用機能を持つMODEL2431が唯一の選択肢になります。


クランプメーターの基礎知識・選び方
クランプメーターは、ケーブルをクランプ(挟み込み)することで、電線に流れる電流が作る磁界を検出し、非接触で電流値を測定する測定器です。回路を切断したり停電させたりする必要がないため、稼働中の設備でも安全に電流を確認できます。
AC専用/AC・DC両対応で選ぶ
一般的な電気工事・設備保全の現場ではAC(交流)電流の測定が中心のため、FLUKE 302+・HIOKI 3280-10・共立電気計器KEW2200のようなAC専用モデルで十分です。太陽光発電システムやバッテリー・蓄電池回路などDC(直流)を扱う現場では、三和電気計器DCM400ADのようなAC/DC両対応モデルが必須になります。
負荷電流測定用と漏れ電流測定用の違いで選ぶ
通常の電流測定(負荷電流)と、絶縁劣化などで生じる微小な漏れ電流の測定では、必要なレンジがまったく異なります。日常的な電流確認には負荷電流測定用の一般的なクランプメーターで十分ですが、絶縁診断や漏電原因調査を行う場合は、共立電気計器MODEL2431のような漏れ電流測定専用機が必要です。
使い方のコツ
クランプメーターで測定する時は、必ず測定したい1本の電線だけをクランプで挟んでください。複数の電線(往復の2本など)をまとめて挟んでしまうと、磁界が打ち消し合ってしまい正しい値が測定できません。
僕自身、最初の頃は往復の電線をまとめて挟んでしまい「電流が全く出ない」と戸惑った経験があるので、慣れないうちは測定前にどの電線を挟んでいるか確認する習慣をつけることをおすすめします。ジョウ(クランプの開口部)は完全に閉じてから読み取ると、より安定した値が得られます。
選び方・注意点
電流測定範囲のカタログスペックだけで選ぶと失敗しやすいので注意してください。同じ「クランプメーター」でも、AC専用かAC/DC両対応かで測定できる回路がまったく異なります。太陽光発電やバッテリー関連の点検予定があるなら、価格が上でも三和電気計器DCM400ADのようなAC/DC両対応モデルを選んだ方が結果的に無駄になりません。
通常の負荷電流測定と漏れ電流測定は目的が異なるため、両方が必要な場合は2台を使い分ける必要があります。事前にどちらの測定が必要になるか整理しておくと後悔しにくいです。既に紹介した非接触検電器(電圧確認用)や検相器(相順判定用)とあわせて用途を整理してみてください。
クランプメーター専用アクセサリー|あると便利な周辺機器
クランプメーター本体だけでなく、用途に合わせた周辺機器を追加すると測定の幅がぐっと広がります。ここでは特に汎用性の高い2種類を紹介します。
テストリード・プローブセット
クランプメーターに付属する電圧・抵抗測定用のテストリードは消耗品です。断線や接触不良を感じたら、早めに交換用のテストリード・プローブセットを用意しておくと安心です。
フレキシブル電流センサ(補助クランプ)
複数の電線が密集した配線や、太い動力ケーブルなど本体のクランプでは挟みにくい場所には、フレキシブルタイプの電流センサを追加すると測定できる範囲が広がります。対応機種を確認してから選んでください。
よくある質問
Q. クランプメーターと検電器・検相器はどう違いますか?
A. 検電器は電圧の有無、検相器は三相電源の相順を確認する道具で、いずれも「安全確認・接続確認」が目的です。クランプメーターは実際に流れている電流の大きさを測定する道具で、負荷状況の把握や漏電診断が目的です。役割が異なるため、電気工事・設備保全の現場では両方を使い分けます。
Q. AC専用モデルでDC回路を測定できますか?
A. できません。AC専用のクランプメーター(FLUKE 302+・HIOKI 3280-10・共立電気計器KEW2200)は直流電流を検出できないため、太陽光発電やバッテリー回路にはAC/DC両対応の三和電気計器DCM400ADのような製品が必要です。
Q. 初心者が最初に買うならどれがいいですか?
A. まず一般的な負荷電流測定から始めるなら、共立電気計器KEW2200かFLUKE 302+が入りやすいです。太陽光発電・蓄電池関連の点検を予定しているなら、最初から三和電気計器DCM400ADを選んだ方が結果的に買い替えの手間が省けます。



1台あると通電中の設備でも安全に電流を確認できるのがクランプメーターの魅力です。ご自身の点検業務(AC/DCどちらか、負荷電流か漏れ電流か)に合わせて選んでみてください。
まとめ
クランプメーター5製品を、電流測定範囲・AC/DC対応・価格帯の3軸で比較しました。海外ブランドで揃えたいならFLUKE 302+、大電流の動力線を扱うならHIOKI 3280-10、狭い配電盤での作業なら共立電気計器KEW2200、太陽光・蓄電池のDC回路にはSanwa電気計器DCM400AD、絶縁劣化・漏電点検には共立電気計器MODEL2431が候補です。
いずれも測定対象(AC/DC・負荷電流/漏れ電流)を整理してから選べば失敗しにくい測定器です。既に紹介した非接触検電器・検相器とあわせて、電気設備点検の基本装備として揃えてみてください。
