メナどうも、機械と電気の両方をこなすハイブリッドエンジニア、メナ(@menachite)です。今回は検相器(相回転計)の比較です。三相モーターの逆回転事故を防ぎたい電気工事士・設備保全担当者向けにまとめました。
検相器を選ぶ時、非接触方式と接触方式の違いや対応電線径がどう作業に効いてくるのか分からない方が多いと思います。結論は、絶縁被覆の上から安全に測定したいなら非接触方式一択、電圧確認まで同時に済ませたいなら電圧計付きの上位機種を選ぶべき、ということです。理由は後述します。
今回はHIOKI・共立電気計器・長谷川電機工業・FLUKE・三和電気計器の5ブランド7製品を比較しました。方式(非接触/接触式/電圧計付)・対応電線径・価格帯の3軸で見ていくと、どんな現場に合うかが見えてきます。
三相電源の相順を間違えたままモーターを稼働させると、想定と逆方向に回転してしまい設備の破損や事故につながります。検相器選びで失敗しないよう、正直にお伝えしていきます。
結論:目的別おすすめ早見表
先に結論です。「太めの動力線を扱う」ならHIOKI PD3129-10、「制御盤内の細い電線を扱う」ならHIOKI PD3129を選べば間違いありません。検査記録まで効率化したいプロはHIOKI PD3259-50、他ブランドで揃えたい方は共立電気計器KEW8035が候補になります。
| 製品 | 方式/対応電線径 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| HIOKI PD3129-10 | 非接触/ワイド(Φ7〜40mm) | 太めの動力線を扱う現場向け |
| HIOKI PD3129 | 非接触/スリム(Φ2.4〜17mm) | 制御盤内の細い電線を扱う現場向け |
| HIOKI PD3259-50 | 非接触/電圧計付・無線対応 | 検査記録まで効率化したいプロ向け |
| 共立電気計器 KEW8035 | 非接触(Φ2.4〜30mm)・LED発光 | 広い電線径を1台でカバーしたい人 |
| 長谷川電機工業 HPL-200 | 非接触・マグネット固定 | ハンズフリー作業を重視する人 |
| FLUKE 9062 | 非接触・国際ブランド | 海外ブランドで測定器を揃えたい人 |
| 三和電気計器 KS1(BOX) | 接触式・電池不要 | より確実な接触式判定を求める人 |
検相器おすすめ7選
HIOKI(日置電機) 検相器 PD3129-10 ワイドタイプ





光る矢印表示は現場で本当に見やすくて、僕も報告写真を撮る時に結果が一目で伝わるのが地味にありがたいです。
HIOKI PD3129-10は、金属非接触型のワイドタイプ検相器です。絶縁被覆の上からクリップを挟むだけで、相順(正相/逆相)をLED矢印とブザー音で確認できます。測定可能な電線径はΦ7〜40mmと太めの電線にも対応し、分電盤への磁石固定にも対応しています。


正直なところ、太めの電線向けのワイドタイプゆえに細い電線には次に紹介するスリムタイプのほうが適しています。用途に応じてクリップサイズを選ぶ必要がある点は購入前に確認しておいたほうがよいです。
金属に直接触れない非接触方式なので、感電リスクを抑えながら三相電源の相順確認・モーターの回転方向チェックができる定番機です。


HIOKI(日置電機) 検相器 PD3129 スリムタイプ





細い電線が多い制御盤内の配線でもクリップがしっかり挟めるので、ワイドタイプで挟みにくかった箇所もこれで解決しました。
HIOKI PD3129は、PD3129-10と同じ非接触方式ながら測定可能な電線径がΦ2.4〜17mmと細めに設計されたスリムタイプです。制御盤内の細い電線や密集した配線でもクリップを挟みやすく、機能自体はPD3129-10と同等です。


正直なところ、太い動力線(40mm級)にはクリップが対応しないため、大きめの電線を扱う現場ではワイドタイプのPD3129-10のほうが向いています。扱う電線径に応じてどちらか一方、または両方を揃えるのがおすすめです。
制御盤配線・小型モーターの点検作業など、細い電線を扱う機会が多い方に向いている1台です。


HIOKI(日置電機) 電圧計付検相器 PD3259-50





相順と線間電圧が同時に画面表示されるのは、現場の検査写真を撮る時に一枚で済むのでレポート作成が正直かなり楽になりました。
HIOKI PD3259-50は、相順確認と線間電圧測定を同時に行える上位機種の検相器です。絶縁被覆の電線にクリップするだけで、相順・接地相・三相電圧値を同一画面に表示できます。オプションの無線アダプタZ3210を装着すればBluetoothでスマートフォン・タブレットにデータを転送し、専用アプリで不平衡率やベクトル図の確認・帳票作成までできます。


正直なところ、価格は今回紹介する中でもっとも高く、電圧測定・無線転送という機能を必要としない方にはオーバースペックです。シンプルに相順だけ確認したいなら他のモデルのほうがコスパは良いです。
検査記録・帳票作成まで含めて効率化したいプロの電気工事士・設備保全担当者にとっては、投資する価値のある1台です。


共立電気計器(KYORITSU) 8035 非接触検相器





HIOKIとは別ブランドで揃えたい時の選択肢としてしっかり実力があります。明るい屋外現場でもLED発光で視認性が落ちないのは地味に助かるポイントです。
共立電気計器 KEW8035は、非接触方式の検相器です。対応電線径はΦ2.4〜30mm(公称2〜325mm²)とHIOKIの2製品を合わせた範囲をこの1台でカバーしており、LED発光機能付きで明るい屋外現場でも表示を確認しやすいのが特徴です。CAT IV600V/CAT III 1000Vの安全規格に対応しています。


正直なところ、電圧測定機能はなく相順・欠相・接地相の確認に特化した製品です。線間電圧まで同時に見たい場合はHIOKI PD3259-50のような上位機種を検討する必要があります。
対応電線径の広さと視認性の良さを両立したモデルで、HIOKI以外のブランドで検相器を揃えたい方、屋外現場での視認性を重視する方におすすめです。


長谷川電機工業(Hasegawa) 検相器 低圧相回転計 HPL-200



背面のマグネットで分電盤に貼り付けたまま両手を空けて作業できるのが思った以上に便利で、配線作業と確認を一人で並行してこなせます。
長谷川電機工業 HPL-200は、絶縁被覆の電線から相回転・同相/異相を確認できる低圧相回転計です。背面にマグネットを内蔵しており、分電盤に貼り付けたままハンズフリーで作業できるのが特徴です。対応電線径はΦ2.8〜22mm(2〜100mm²)、三相3線式・三相4線式回路に対応します。


正直なところ、HIOKI・共立電気計器と比べると検相器専業メーカーとしての知名度はやや低く、代理店・取扱店舗が限られる場面があります。ただし機能・精度は他の2ブランドと遜色なく、価格も中堅帯に収まっています。
マグネット固定によるハンズフリー作業を重視する方、検電器・検相器を長谷川電機工業ブランドで揃えたい方に向いている1台です。


FLUKE(フルーク) 検相器【国内正規品】 9062





海外の現場機器でもおなじみのFLUKEブランドなので、他の測定器をFLUKEで揃えている人にはブランド統一の意味でも選びやすいです。
FLUKE 9062は、測定器の世界的ブランドFLUKEが手掛ける非接触方式の検相器です。回転磁場およびモーター回転を非接触で検出・表示する独自機能を備え、商業・工業環境向けに製造されています。同期・非同期三相モーターいずれの回転方向判定にも使用できます。


非接触の検出方式のため、シャフトが目視できないモーターでの使用に最適です。付属のテスト・プローブはクランプ・レンジを変えられ、工業用ソケットも付属するため、現場のさまざまな配線環境に対応できます。


HIOKI・共立電気計器・長谷川電機工業が国内メーカーであるのに対し、FLUKEは海外の測定器総合ブランドです。他の測定器をFLUKEブランドで揃えている電気工事士・設備保全担当者にとって、ブランドを統一できる点が魅力です。
sanwa(三和電気計器) 三相交流用接触式検相器 KS1(BOX)



クリップリードを直接当てる接触式なので、非接触方式では判定しにくい低電圧・低周波の現場でも確実に検相できるのが安心材料です。
三和電気計器 KS1(BOX)は、金属端子接触式の標準的な検相器です。IEC61010-1 CAT.III 500V・IEC61326・IEC61010-031に対応し、順相・逆相のチェックと各相の欠相をLEDランプで確認できます。内蔵電池は不要です。


使用電圧は三相AC100〜500V、周波数特性は45〜70Hzに対応します。クリップリードが本体に直結(約0.6m)されており、寸法H102×W78×D32.5mm・質量約212gとコンパクトで持ち運びやすい設計です。


HIOKIやFLUKEの非接触方式と異なり、端子に直接クリップを当てる接触式のため、より確実な検相判定が可能です。電池不要で長期保管後もすぐ使えるのも実務での使いやすさにつながります。
検相器の基礎知識・選び方
検相器(相回転計)は、三相交流電源の相順(R・S・T相の並び順)が正相か逆相かを確認する測定器です。三相モーターは相順を間違えて接続すると逆回転してしまい、ポンプや送風機など回転方向が重要な設備では破損や事故につながるため、設置・改修工事では相順確認が欠かせません。
①非接触方式 vs 接触方式
非接触方式は絶縁被覆の上からクリップを挟むだけで測定でき、金属部分に触れないため感電リスクを抑えられます。近年の主流はこちらで、今回紹介した5製品もすべて非接触方式です。接触方式はプローブを露出した端子に直接当てる旧来の方式で、価格は安い傾向がありますが感電リスクが相対的に高くなります。
②対応電線径の確認
非接触方式はクリップの開口サイズによって対応できる電線の太さが決まっています。制御盤内の細い電線を扱うならスリムタイプ、動力盤の太い電線を扱うならワイドタイプを選ぶ必要があります。共立電気計器KEW8035のように広い範囲を1台でカバーするモデルもあります。
③電圧測定・無線転送機能の有無
検査記録として線間電圧も同時に残したい場合は、HIOKI PD3259-50のような電圧計付きモデルが便利です。無線アダプタでスマートフォンにデータ転送できる上位機種を使えば、検査帳票の作成まで効率化できます。
使い方のコツ
検相器を使う時は、対象の3本の電線それぞれにクリップを順番に当てて、LED表示とブザー音で正相・逆相を確認します。断続音(または矢印の点灯順)が正相、連続音(または逆順点灯)が逆相を示すのが一般的です。製品ごとに表示方法の細部が異なるため、取扱説明書で使用機種の判定方法を最初に確認しておくと現場で迷いません。
僕も現場で相順を確認せずにモーターの試運転をしてしまい、逆回転でポンプを空転させかけたことがあります。それ以来、通電前の相順確認は必ずルーティンに組み込むようにしています。分電盤に磁石で固定できるモデルなら、両手が空くので配線作業と並行して確認しやすくなります。
選び方・注意点
検相器は電池式がほとんどのため、現場に持ち出す前に電池残量を確認する習慣をつけておくと安心です。長期間使わない期間があると電池切れに気づかないまま現場に持ち出してしまうことがあります。
価格は流通状況によって変動するジャンルです。本記事の価格は執筆時点でamazon.co.jpにて実在・出品確認済みのものですが、購入前に商品ページで最新の価格・在庫を必ず確認してください。
あわせて用意したいアクセサリー
検相器は電池式のため、現場での電池切れに備えて予備電池を工具箱に常備しておくことをおすすめします。
パナソニック(Panasonic) エボルタ 単3形アルカリ乾電池 20本パック LR6EJ/20SW



検相器は電池切れで現場に持ち出しても使えないと本当に困るので、予備電池を工具箱に常備しておくと安心です。
今回紹介した検相器はいずれも単3形または単4形の乾電池で動作します。パナソニック エボルタは業界最長クラスの使用推奨期限10年をうたうロングライフタイプで、めったに使わない検相器の予備電池としても安心して長期保管できます。


現場に持ち出す前に電池残量を確認し、予備を1セット工具箱に常備しておくと、電池切れで検査が中断する心配がなくなります。


よくある質問
Q. 検相器と検電器の違いは何ですか?
A. 検電器は電線に電圧がかかっているかどうかを確認する測定器です。検相器は三相電源の相順(正相/逆相)を確認する測定器で、目的が異なります。製品によっては検電機能と検相機能を兼ねるモデルもあります。
Q. 検相器はどんな場面で必要になりますか?
A. 三相モーターを新設・改修した際の試運転前、動力設備の配線を変更した際など、モーターの回転方向を誤ると困る作業では必須です。相順を確認せずに通電すると、ポンプや送風機が逆回転して破損するリスクがあります。
Q. 初心者はどれを選べばいいですか?
A. 初めての1台なら、対応電線径が広く汎用性の高い共立電気計器KEW8035か、制御盤配線が中心ならHIOKI PD3129(スリムタイプ)が扱いやすいです。動力盤の太い電線が多い現場ならHIOKI PD3129-10を検討してください。



方式(非接触/電圧計付)と対応電線径、この2点を押さえておけば検相器選びで大きく失敗することはないと思います。扱う現場の電線の太さから逆算して選んでみてください。
まとめ
検相器5製品を、方式・対応電線径・価格帯の3軸で比較しました。太めの電線を扱うならHIOKI PD3129-10、細い電線ならHIOKI PD3129、検査記録まで効率化したいプロならHIOKI PD3259-50が候補になります。
いずれも電気工事士・設備保全の現場で三相モーターの逆回転事故を防ぐために欠かせない測定器です。扱う電線の太さと必要な機能から、ぴったりの1台を選んでみてください。