メナどうも、メナです。電気工事士として毎日電気系統と格闘しているので、愛車の後付け電装いじりにも同じ感覚で向き合っています。今回はヒューズ電源での電源の取り方と、賛否が分かれる「エレクトロタップは使っていいのか」を、できるだけ具体的にまとめました。
結論から言うと、初めて電装DIYをする人は、ヒューズボックスの空きスロットに差し込むだけの低背ヒューズ電源を基本にするのが一番失敗しにくい方法です。配線の分岐が必要な場面では、手軽さのエレクトロタップか、信頼性のギボシ端子かを用途で使い分けます。作業前には必ず検電テスターで通電確認をしてください。
★この記事はヒューズ電源からの電源の取り方と配線分岐の基本を扱います。ドライブレコーダーの駐車監視モードを常時電源化する具体的な手順は既存の別記事で詳しく解説しているので、そちらもあわせてご覧ください(ページ末の関連記事にリンクがあります)。
早見表:ACC電源・IG電源・常時電源の違いと選び方
後付け電装の電源選びで最初につまずくのが、この3種類の電源の区別です。まずは早見表で全体像をつかんでください。
| 電源 | 通電するタイミング | 主な用途 |
|---|---|---|
| ACC電源 | キーをACC位置(1段階)にすると通電 | ナビ・オーディオなど、エンジン停止中も短時間使いたい機器 |
| IG電源 | キーをON(2段階)にする、エンジン始動で通電 | 追加メーターなど、エンジン始動中の安定した電源が必要な機器 |
| 常時電源 | キー位置に関係なく常に通電 | ドラレコの駐車監視・セキュリティ用品などバックアップ電源 |
用途別の使い分けの基本的な考え方は(エーモン運営DIYLABO「ACC電源とIG電源の違い」、2026-09-04確認)でも整理されている通り、LEDのような消費電力の小さい機器はACC/IGどちらでも大きな差は出ません。エアコンや追加メーターなど、エンジンが回って発電機がしっかり動いている時だけ動作させたい機器はIG電源が向いています。
まず電源の種類を見分けよう
早見表の3種類は、車両のヒューズボックスの中に混在しています。どのスロットがどの電源かは車種ごとに違うため、配線図がなければ検電テスターで実際に確認するのが確実です。エンジンをかけない状態・ACCの状態・エンジン始動の状態でそれぞれ検電テスターを当て、通電するタイミングを見比べれば見分けられます。
★ドライブレコーダーの駐車監視モードのように「エンジンを切っても常に電源が必要」な機器を後付けしたい場合は、常時電源化の専用の手順(電圧カットオフ設定や配線の取り回しの注意点)が別にあります。この記事では触れないので、既存記事「【2026年版】ドライブレコーダー前後2カメラおすすめ比較|コムテック・ユピテル・ケンウッド・セルスターを徹底解説」のFAQで詳しく解説している内容を参照してください。
この記事でこれから中心的に扱うのは、ACC電源またはIG電源をヒューズボックスから取り出す、一番出番の多いパターンです。
ここから先は踏み込んだ話です。急ぐ人は「まとめ」へ飛んでOKです。
もう一歩踏み込みたい人へ:接触抵抗と発熱、ヒューズ容量の考え方
「なぜヒューズボックスの空きスロットを使う方式が安全なのか」を、もう少し電気工学寄りに説明します。急いでいる人は読み飛ばしてもらって大丈夫です。
配線の接続部分には必ずわずかな電気抵抗(接触抵抗)があります。接続が緩い・酸化している・配線の太さに合わない端子を使っている、といった状態では接触抵抗が上がり、そこに電流が流れると熱が発生します。エレクトロタップで太い配線に細線用を使うと内部の芯線までしっかり食い込まず接触不良が起こり、逆に細い配線に太線用を使うと配線に深く食い込みすぎて芯線を断線させる危険がある、という点は(エーモン運営DIYLABO「エレクトロタップの正しい使い方」、2026-09-04確認)でも明記されています。発熱が続くと被覆が溶け、最悪の場合はショートや発火につながります。
もう一つの要点がヒューズ容量です。ヒューズは「配線を保護するための、意図的な弱点」ですが、ここで注意したいのは、電流の上限は「差し替える元のヒューズの定格(15Aなど)」ではなく「ヒューズ電源ユニット自体が安全に取り出せる電流(使用可能電流)」だという点です。E576の仕様では低背ヒューズ7.5A差替に対し使用可能電流は5Aで、内蔵の管理ヒューズも5A、公式サイトでも容量アップができない旨が明記されています(エーモン公式サイト、2026-09-04確認)。
後付け機器の消費電力(W)を電圧(12V)で割った電流(A)が、ヒューズ電源自体の使用可能電流(目安5A)以内に収まるようにすることが、電源取り出しの基本ルールです。差し替える元のヒューズが15A対応などと表記されていても、そこまで電流を取り出せるわけではない点に注意してください。
だから一般ユーザーは何を選べばいいのか
接触抵抗とヒューズ容量の話をふまえると、結論はシンプルです。一般ユーザーが後付け電源を取るなら、車両が最初から用意しているヒューズボックスの低背ヒューズを差し替えるだけの低背ヒューズ電源を基本にするのが、一番失敗しにくい方法です。
理由は、ヒューズボックス自体がもともと車両設計者によって回路ごとの許容電流を計算して作られている場所だからです。そこに差し替え式の電源ユニットを使えば、新しく配線を引き込んで独自にヒューズを追加する場合に比べて、車両側の保護設計を壊さずに済みます。取り出した先の配線分岐だけ、エレクトロタップかギボシ端子かを用途で選べば十分です。
安全に作業するために
電装DIYで一番怖いのはショートによる発煙・火災です。作業前に必ず次の3点を守ってください。
① バッテリーのマイナス端子を外してから作業する
配線の分岐・接続作業を始める前に、必ずバッテリーのマイナス端子を外します。通電した状態のまま配線を触ると、工具や端子が別の金属部分に触れた瞬間にショートする危険があります。
② ショート時の発煙・火災リスクを理解しておく
配線がショートすると、ヒューズが切れる前に一瞬大電流が流れ、被覆が溶けて発煙したり、最悪の場合は火災につながります。適切な容量のヒューズを必ず経由させ、ヒューズを飛び越えて直結するような配線は、火災につながるため必ず避けてください。
③ 検電テスターで通電確認をしてから触る
バッテリー端子を外した後も、配線に電気が残っていないか検電テスターで確認してから作業を始めます。作業後、バッテリーを接続し直したら、目的の電装品が正しいタイミングで通電しているかも同じテスターで確認してください。
エレクトロタップの是非
「エレクトロタップは使うべきではない」という意見をネットでよく見かけますが、実際には一長一短です。両方の立場を整理します。
賛成派の理由:施工簡便性
配線を切断せず、プライヤーで挟むだけで分岐できる手軽さは他の方法にない利点です。圧着工具が不要で、初めての電装DIYでも扱いやすいのは事実です。配線の太さに合ったサイズ(赤/白/青など)を選べば、一時的な機器の取り付けでは十分実用に耐えます。
反対派の理由:接触不良リスク
一方で、プロの整備士や電工の間では、配線分岐にはギボシ端子やスプライス端子を使うべきという意見もあります。二輪整備を扱うWebike「エレクトロタップかスプライス端子か」(2026-09-04確認)では、配線の太さがコネクターのサイズに合っていないと芯線を傷つけたり接続不良になったりするとして、エレクトロタップとスプライス端子を用途に応じて使い分ける立場が紹介されています。配線の太さとサイズが合っていないと接触不良や芯線の損傷につながる点は、前述のDIYLABO「エレクトロタップの正しい使い方」(2026-09-04確認)でも明記されている通りです。
なお、車の振動が続く環境で接続部が緩みやすくなるという点は、外部資料の指摘ではなく、電気工事士としての私自身の経験則です。またエレクトロタップは一度使うと再利用できない使い切りの部品でもあります。
私の使い分け
配線サイズに合ったものを選び、一時的な取り付け・見える場所での作業ならエレクトロタップで十分だと考えています。逆に、長期間振動にさらされる場所や、外れると困る重要な配線(常時電源系など)には、圧着工具は必要になりますがギボシ端子やスプライス端子を使うほうが安心です。どちらか一方だけが常に正しいわけではなく、使う場所で選ぶのが現実的な答えです。
検電テスター・配線部材のおすすめ4点
ここまで説明した内容をふまえた、実際に使う工具・部材です。全てエーモン製で統一しました(Amazon.co.jp実在・在庫確認済み、2026-09-04時点)。
エーモン(amon) 検電テスター A49





配線作業の前に必ず1本持っておいてほしいのがこれです。「電気が来ているか」を目で確認せずに作業を始めるのが、電装DIYで一番危ないパターンです。
| 対応電圧 | DC6V〜DC24V |
| 確認方式 | LED光による通電確認 |
| コード長 | 約80cm |
| 用途 | 配線の通電有無・電源の種類の判別 |
エーモンA49は、LEDの光で通電を確認するタイプの検電テスターです(エーモン公式サイト、2026-09-04確認、対応電圧DC6V〜DC24V)。テスター本体のクリップを車体のマイナス(ボディアース)に挟み、先端の針を確認したい配線に軽く当てるだけで、通電しているかどうかがひと目で分かります。


前述のACC電源・IG電源・常時電源の見分けにもそのまま使えます。バッテリー端子を外す前・外した後のどちらの通電確認にも使うので、電装DIYを始めるなら工具箱の中身より先に用意する感覚で問題ありません。
エーモン(amon) 低背ヒューズ電源 DC12V・60W/DC24V・120W 15Aヒューズ差替用 4941







後付け電源の取り方で私が一番おすすめしているのがこの低背ヒューズ電源です。配線を車体側から新しく引き回さず、既存のヒューズボックスの空きスロットを使わせてもらう発想です。
| 対応電圧 | DC12V・60W以下 / DC24V・120W以下 |
| 差し替え対象 | 低背ヒューズ(15A差替用) |
| 取り出し方式 | ヒューズボックスの低背ヒューズと差し替えるだけ |
| 用途例 | ドライブレコーダー、ポータブルナビ等の電源 |
仕組みはE576(低背ヒューズ7.5A差替・使用可能電流5A)の公式仕様と共通する低背ヒューズ差替方式で(エーモン公式サイト、2026-09-04確認)、ヒューズボックスの低背ヒューズをこのヒューズ電源ユニットに差し替えるだけで、そこから電源コードが1本出てくる構造です。本製品は15Aヒューズ差替用で、ドラレコやポータブルナビ程度の消費電力であれば余裕を持って使えます(ただし取り出せる電流の上限は前述の使用可能電流の考え方が基準になります)。


この方式が初心者に向いている理由は、車両側が最初から用意している回路とヒューズ(保護装置)をそのまま使うからです。新しく配線を引き込んで独自にヒューズを追加する方法より、失敗した時に車両本来の保護機能に守られやすくなります(詳しい考え方は前述の通りです)。
エーモン(amon) 配線コネクター(赤) DC12V110W以下/DC24V220W以下 エレクトロタップ 4936





賛否が分かれるエレクトロタップです。手軽さは間違いなく一番ですが、使い方を誤ると接触不良の原因になるので、前述の「是非」の節で説明した通り、使うかどうかは場所を選んで判断してください。
| 対応電圧 | DC12V・110W以下 / DC24V・220W以下 |
| 対応配線サイズ(参考:3336の公式仕様) | AV(S) 0.5〜0.85sq |
| 接続方式 | プライヤーで挟むだけ(配線を切らずに分岐) |
| 注意 | 再利用不可(一度使ったら再使用しない) |
配線を切断せずプライヤーで挟むだけで分岐できる手軽さが最大の利点です。参考として、近い仕様の配線コネクター3336の公式仕様では対応配線サイズがAV(S)0.5〜0.85sqと明記されており(エーモン公式サイト、2026-09-04確認)、配線の太さが対応範囲から外れると接触不良や断線の原因になる点は公式でも明記されています。


一度カシメたエレクトロタップは再利用できません。ここが施工簡便性とリスクのトレードオフになる部分で、詳しい是非の考え方は前述の専用の節にまとめました。
エーモン(amon) ギボシ端子セット AV(S)0.5〜2sq 12セット 3301





エレクトロタップに不安がある人、プロの施工に近づけたい人はこちらです。圧着工具は別途必要になりますが、接続の信頼性はこちらのほうが高いというのが私の実感です。
| 対応電圧 | DC12V・200W以下 / DC24V・400W以下 |
| 対応配線サイズ | AV(S) 0.5〜2sq |
| セット内容 | オス/メス端子各12個、オス/メススリーブ各12個 |
| 材質 | 端子:黄銅(スズメッキ)、スリーブ:PVC |
ギボシ端子は配線の被覆を剥いて専用の圧着工具でカシメる方式で、対応電圧・配線サイズの余裕もエレクトロタップより大きく設計されています(エーモン公式サイト、2026-09-04確認)。抜き差しができる着脱式なので、社外品を将来的に外したい場合にも配線を傷めずに済みます。


ただし圧着工具が別途必要になる点と、エレクトロタップよりひと手間かかる点は許容してください。1本だけサッと分岐したい、工具を増やしたくないという場面まで全部これに置き換える必要はありません。使い分けの考え方は次の節で説明します。
アクセサリー:あると安心な小物
ここまで紹介した4点に加えて、ギボシ端子を使うなら圧着工具、どの作業でも被覆の補修に使う絶縁テープ・収縮チューブがあると安心です。
電工圧着ペンチ(ギボシ端子用)
ギボシ端子をしっかりカシメるには専用の圧着ペンチが必要です。ラジオペンチで代用すると圧着が甘くなり、結局エレクトロタップと同じ接触不良のリスクを抱えることになるので、ギボシ端子を使うと決めたら圧着ペンチもセットで用意してください。
絶縁テープ・収縮チューブ
配線の接続部分は、エレクトロタップ・ギボシ端子どちらの場合も、最後に絶縁テープや熱収縮チューブで覆っておくと、水分や振動による劣化を防げます。特にエンジンルーム内や車体下側の配線には必須です。



迷ったら、電源はヒューズボックスの低背ヒューズ電源、分岐は用途に応じてエレクトロタップかギボシ端子。そして作業前後は必ず検電テスターで確認する。これだけ覚えておけば大きな失敗はしません。
まとめ:後付け電源DIYの基本
ACC電源・IG電源・常時電源の違いを見分け、電源はヒューズボックスの低背ヒューズ電源から取るのが一番失敗しにくい方法です。配線分岐はエレクトロタップの手軽さとギボシ端子の信頼性を、使う場所で使い分けてください。作業前後の検電テスターでの確認と、バッテリー端子を外してからの作業は、どんなに慣れても省略しないことをおすすめします。
★電流の上限は「差し替える元のヒューズの定格」ではなく「ヒューズ電源自体の使用可能電流(目安5A)」です。後付け機器の消費電力(W)÷12Vがこの範囲に収まっているか、必ず確認してください。
★本記事の仕様・数値は2026-09-04確認のメーカー公式情報に基づきます。仕様は変更される場合があるため、購入前に最新の製品ページをご確認ください。
