メナどうも、機械と電気の両方をこなすハイブリッドエンジニア、メナ(@menachite)です。今回は自動遮光溶接面の比較です。溶接機や溶接工具は揃えていても、顔面保護具だけは溶接機に付属の簡易品のまま、という方は意外と多いのではないでしょうか。
自動遮光溶接面は、アークが発生した瞬間に自動で遮光度を切り替えてくれる保護具です。普通の遮光面のように手動でかぶり直す必要がなく、溶接姿勢を保ったまま作業に集中できます。ただし遮光番号(数字が大きいほど遮光度が高い)は溶接電流によって適切な範囲が異なるため、誤った遮光番号のまま作業すると目に有害な放射を受けるリスクがあります。本記事に記載の遮光番号は全て各メーカーの公式スペックをそのまま転記したもので、推測や断定的な言い換えは行っていません。
結論から言うと、切断・グラインド作業まで1枚でこなしたいならSUZUKID EB-300PWD、溶接専用でシンプルに使いたいならEB-300PW、アーク開始の瞬間まで高速遮光を重視するなら3Mスピードグラス751120、プラズマ切断やガス溶接まで含めて幅広く使いたいなら小池酸素工業KADF-100がおすすめです。
この記事では遮光番号・遮光速度・対応溶接方式の3軸で4製品を比較し、規格・スペックは全てメーカー公式情報で裏取りした上で、正直にお伝えします。
結論:目的別おすすめ早見表
先に結論です。「切断・グラインドまで1枚でこなしたい」ならSUZUKID EB-300PWD、「溶接専用でシンプルに使いたい」ならEB-300PW、「アーク開始の瞬間まで高速遮光を重視する」なら3Mスピードグラス751120、「プラズマ切断・ガス溶接まで幅広く使いたい」なら小池酸素工業KADF-100を選べば間違いありません。遮光番号・遮光速度の数値は全て2026年8月8日時点でメーカー公式仕様を確認済みですが、購入前に商品ページ・取扱説明書で最新仕様をご確認ください。
| 製品 | 遮光番号(公式表記) | 遮光速度 | 対応溶接方式 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| SUZUKID EB-300PWD | 中央#8〜#14(モード別可変) | 1/25000秒 | TIG/MIG/MAG/MMA+切断/グラインド | 切断・グラインドまで1枚でこなしたい人 |
| SUZUKID EB-300PW | 中央#4〜#8/#8〜#12 | 1/25000秒 | TIG/MIG/MAG/MMA+グラインド | 溶接専用でシンプルに使いたい人 |
| 3M スピードグラス751120 | 遮光後#8〜#12(5段階) | 0.1ms(1/10000秒) | MMA/MIG/MAG/TIG(10A以上) | アーク開始の瞬間まで高速遮光を重視する人 |
| 小池酸素工業 KADF-100 | DIN9〜13(無段階) | 1/16000秒 | MMA/TIG/半自動+プラズマ切断/ガス溶接 | プラズマ切断・ガス溶接まで幅広く使いたい人 |
自動遮光溶接面おすすめ4選
スター電器製造(SUZUKID) 自動遮光溶接面 アイボーグ180°デジタル EB-300PWD



溶接だけでなく切断・グラインド作業まで1枚でこなしたいなら、僕はこのデジタルモデルを勧めます。モードごとにボタンで遮光番号を切り替えられるので、作業内容が変わるたびに手袋を外してダイヤルを回す手間がないのが助かります。
SUZUKID EB-300PWDは、公式仕様(2026年8月8日確認、https://suzukid.co.jp/welding-surface/lcd-helmet/eb-300pwd/)によると遮光番号は遮光前#3、中央窓が溶接モード#8〜#14・切断モード#4〜#8・グラインドモード#3、サイド窓は固定#10です。遮光速度1/25000秒、戻り速度は10段階(0.06〜1.00秒)で調整できます。電源はソーラー+リチウム電池CR2032×2本のハイブリッド方式です。


対応溶接方式はTIG(2A超)・MIG・MAG・被覆アーク(MMA)で、切断・グラインドモードも搭載しているため、溶接以外の周辺作業もこれ1枚でカバーしたい人に向いています。
デジタル液晶でモード表示が見やすい反面、次に紹介するアナログダイヤル式のEB-300PWより価格はやや高めです。切断・グラインドモードが不要でシンプルに使いたい場合はEB-300PWも検討してください。


スター電器製造(SUZUKID) 液晶式自動遮光溶接面 アイボーグ180° EB-300PW



溶接作業だけにシンプルに使うなら、僕はこのアナログダイヤル式を選びます。同じアイボーグ180°シリーズで視野角はそのままに、価格を抑えられるのが嬉しいところです。
SUZUKID EB-300PWは、公式仕様(2026年8月8日確認、https://suzukid.co.jp/welding-surface/lcd-helmet/eb-300pw/)によると遮光番号は遮光前#3、中央窓が#4〜#8/#8〜#12(切替スイッチ式)、サイド窓は固定#10です。遮光速度1/25000秒、戻り速度はダイヤル式で無段階(0.1〜1.0秒)調整。電源はソーラー+リチウム電池CR2450×2本です。


対応溶接方式はTIG・MIG・MAG・被覆アーク(MMA)で、グラインドモードも搭載しています。前述のEB-300PWDのような切断モードは持たないシンプルな構成です。
価格を抑えつつSUZUKIDの視野角180°パネルを使いたい人、切断作業は別工具で行い溶接専用として使いたい人に向いています。


3M スピードグラス 自動遮光溶接面 100V ブレイズ 751120



溶接電流が低いアーク開始の一瞬まで確実に遮光してほしい人には、僕はこの3M製を勧めます。切替速度が0.1msと本記事の中でも特に高速なので、アークが出た瞬間のチラつきをほとんど感じません。
3Mスピードグラス100Vブレイズ(751120)は、公式カタログ(2026年8月8日確認、https://multimedia.3m.com/mws/media/1481329O/ohs-885.pdf)によると遮光前#3、遮光後#8〜#12の5段階可変です。遮光速度は23℃時0.1ms(1/10000秒)、戻り速度は100〜2500msの範囲で調整可能。電源はCR2032リチウム電池×2本です。


対応溶接方式は被覆アーク・MIG/MAG・TIG(10A以上)。メーカー希望小売価格(税抜)は34,129円です。
3M製は国際基準(CE等)ベースの記載が中心で、JIS T8141適合の明記は確認できませんでした。日本の遮光度番号の考え方と製品の遮光番号表記(#表記)は対応関係にあるものの、JIS認証そのものを重視する場合は、次に紹介する国内メーカー製もあわせて検討してください。


小池酸素工業 自動遮光溶接面 KADF-100





プラズマ切断やガス溶接まで含めて幅広い作業をこなすなら、僕はこの小池酸素工業製を選びます。アーク感知センサーが4箇所に配置されているので、体の向きを変えてもアークを検知し損ねにくいのが安心です。
小池酸素工業のKADF-100は、公式仕様(2026年8月8日確認、https://www.koike-japan.com/,Lja/292771)によると欧州規格EN379ベースの遮光保護等級1/1/1/2を明記しており、遮光番号は遮光前DIN3.5・遮光時DIN9〜13のアナログ無段階調整です。遮光速度1/16000秒、電源はソーラー+CR2450リチウム電池×2本、アーク感知センサーは4箇所に配置されています。


対応溶接方式は被覆アーク・TIG・TIGパルス・半自動(MIG/MAG・パルス含む)に加えてプラズマ切断・ガス溶接・切断・研磨にも対応する、本記事で最も対応範囲の広いモデルです。価格は本記事4機種の中で最も抑えめです。
本記事で紹介した4機種はいずれもメーカー公式にJIS T8141適合の明記はなく、遮光番号は各社独自の「#」またはDIN表記で管理されています。日本のJIS T8141は遮光度番号1.2〜16の19段階を定め番号が大きいほど遮光度が高いと規定していますが、各社の表記とJIS表記は完全一致するとは限らないため、実際の遮光番号選定は必ずメーカー公式スペック表と使用電流の対応表(取扱説明書記載)に従ってください。


あわせて揃えたいアクセサリー
自動遮光溶接面だけでなく、溶接作業全体で必要になる工具・保護具もあわせて揃えると現場での安全性・作業効率がさらに高まります。
溶接機本体
自動遮光溶接面は顔面保護具であり、溶接機本体は別途必要です。TIG・MIG・MAG方式ごとの溶接機選びは、以下の溶接機比較記事で詳しく解説しています。
溶接工の現場工具一式
溶接面以外にも、溶接工には専用の現場工具が数多くあります。まとめて揃えたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
自動遮光溶接面の選び方
遮光番号の考え方(JIS規格の目安)
日本のJIS T8141(遮光保護具)は、有害な紫外放射・赤外放射・強烈な可視光から目を守るための遮光度番号を1.2〜16の19段階で規定しており、番号が大きいほど遮光度が高くなります。規格の参考表では被覆アーク溶接で電流値75〜200Aの場合に遮光度番号9〜11を使用する、といった作業内容と遮光度番号の対応が示されています(出典: 溶接情報センターhttps://www-it.jwes.or.jp/qa/details.jsp?pg_no=0110030120)。本記事の各製品はメーカー公式の「#」またはDIN表記を採用しており、JIS T8141認証の明記はありませんが、番号が大きいほど遮光度が高いという考え方は共通です。実際の遮光番号選定は必ずメーカー公式の取扱説明書に記載された使用電流との対応表に従ってください。
遮光速度の選び方
遮光速度はアークが発生してから遮光フィルターが暗転するまでの時間です。数値が小さいほど高速で、3Mスピードグラス751120の0.1ms(1/10000秒)が本記事では最速です。TIG溶接のように低電流からアークが立ち上がる作業ほど、遮光速度の速さが目の保護に直結します。
対応溶接方式・付加機能で選ぶ
被覆アーク・TIG・MIG/MAGといった基本的な溶接方式はどの製品も対応していますが、切断モード(SUZUKID EB-300PWD)やプラズマ切断・ガス溶接対応(小池酸素工業KADF-100)のように付加機能は製品ごとに差があります。溶接以外の作業も1枚でこなしたいか、溶接専用でシンプルに使いたいかで選ぶモデルが変わります。



自動遮光溶接面は「遮光番号」「遮光速度」「対応溶接方式」の3つを作業内容と照らし合わせれば迷わず選べます。遮光番号だけは必ずメーカー公式の取扱説明書で使用電流との対応を確認してから使い始めてください。
まとめ
自動遮光溶接面4製品を、遮光番号・遮光速度・対応溶接方式の3軸で比較しました。切断・グラインドまで1枚でこなしたいならSUZUKID EB-300PWD、溶接専用ならEB-300PW、高速遮光を重視するなら3Mスピードグラス751120、プラズマ切断・ガス溶接まで幅広く使いたいなら小池酸素工業KADF-100が候補になります。
※本記事に記載の遮光番号・遮光速度・規格関連の記述は、各メーカー公式情報および日本規格協会・溶接情報センター等の一次情報に基づくものです(2026年8月8日確認)。仕様や在庫状況は変更される場合があるため、購入・使用前には必ずメーカー公式の取扱説明書で最新情報をご確認ください。
