メナどうも、ハイブリッドエンジニアのメナ(@menachite)です。今回は砥石の”種類”の中でも、意外と見落とされがちな「砥粒(研削材の材質)」の違いを扱います。番手(粒度)の選び方は以前の記事で解説したので、今回は「WAとGCって何が違うの?」という材質側の疑問に答えていきます。
結論から言うと、砥石は番手(粗さ)だけでなく、砥粒(材質)によっても向く被削材がまったく変わります。ステンレス・焼入れ鋼にはWA、超硬合金やガラスにはGC、鋳鉄や非鉄金属にはC、一般鋼材にはA、そして機械で鉄を高速研削するならダイヤモンドではなくCBN、というのが大きな目安です。
「結局どれを買えばいいの」という方は、まず下の早見表だけ見てもらえれば迷いません。番手(#の数字)の基本的な考え方については 油砥石・水砥石の選び方 で詳しく解説しているので、そちらもあわせてご覧ください。
結論:目的別 砥粒選び早見表
先に結論です。硬いが熱に弱い被削材(焼入れ鋼・ステンレス)にはWA、超硬合金やガラスのような硬くて脆い材料にはGC、鋳鉄・非鉄金属にはC、一般鋼材の下地研ぎにはA、家庭で手研ぎするならダイヤモンド、機械で鉄系材料を高速研削するならCBNを選べば大きく外しません。
| 砥粒 | 正式名称 | 硬さ・靭性の傾向 | 向く被削材 |
|---|---|---|---|
| WA | 白色アランダム | 硬い・欠けやすい | 焼入れ鋼・ステンレス・工具鋼 |
| GC | 緑色炭化ケイ素 | 最も硬い(一般砥粒)・脆い | 超硬合金・ガラス・セラミックス |
| C | 黒色炭化ケイ素 | GCよりやや軟・脆い | 鋳鉄・非鉄金属・ガラス・石材 |
| A | 褐色アランダム | WAよりやや軟・粘り強い | 一般鋼材・軟鋼(引張強度が高い材料) |
| ダイヤモンド | 超砥粒 | 最硬(天然) | 超硬合金・セラミックス・ガラス・石材 |
| CBN | 超砥粒(人工) | ダイヤに次ぐ硬さ・鉄と反応しにくい | 焼入れ鋼・ハイス鋼(硬い鉄系材料) |
砥石の”種類”とは?番手と砥粒、2つの軸
砥石の”種類”には、実は2つの軸があります。1つは「番手」=研ぎ目の粗さ(#で表す数字)、もう1つは「砥粒」=砥石に練り込まれている研削材そのものの材質です。番手は数字が小さいほど粗く、大きいほど細かいという1本の軸で表せますが、砥粒は材質によって硬さ・靭性(粘り強さ)・熱への強さが異なり、同じ番手でも向く被削材がまったく変わってきます。
砥石は、砥粒(研削材の粒)を結合剤(ビトリファイド=陶磁器質、レジノイド=樹脂質など)で固めた構造をしています。研削・研磨の実力を決めているのは主にこの砥粒の材質で、大きく分けると次の2系統があります。
一般砥粒=WA(白色アランダム)・A(褐色アランダム)・C(黒色炭化ケイ素)・GC(緑色炭化ケイ素)の4種類。人工的に作られる比較的コストの低い砥粒で、一般的な鋼材から鋳鉄・非鉄金属まで幅広くカバーします。
超砥粒=ダイヤモンドとCBN(立方晶窒化ホウ素)の2種類。一般砥粒では歯が立たない硬い材料向けで、価格は一般砥粒より高くなります。
番手との関係|材質が違っても粗さの考え方は共通
番手(#で表す粒度)の基本的な考え方―数字が小さいほど粗く、削る力が強い―は、砥粒の材質がWAでもGCでも共通です。荒砥・中砥・仕上げ砥という3段階の役割分担や、1本目に何を選ぶべきかといった具体的な番手の選び方は 油砥石・水砥石の選び方 で詳しく解説しているので、本記事では重複を避けて割愛します。
ここで押さえておきたいのは、「同じ番手でも砥粒の材質が違うと削れ方が変わる」という点です。たとえば同じ#120番手でも、A(褐色アランダム)は粘り強く長持ちする一方、C(黒色炭化ケイ素)は脆く速く削れる代わりに減りが早い、という違いが出ます。番手の数字だけを見て選ぶと、この材質差を見落としがちなので注意してください。
砥粒の選び方【一般砥粒】WA・GC・C・Aの違い
一般砥粒4種類のうち、WA・Aはアルミナ(酸化アルミニウム)系、C・GCは炭化ケイ素系という2つのグループに分かれます。同じグループ内でも純度によって色と特性が変わるので、それぞれ見ていきます。
WA(白色アランダム/白色溶融アルミナ)
WAは純度の高い酸化アルミニウムを高温で溶融・粉砕した人工砥粒です。不純物が少ない分、砥粒自体が適度に欠けやすく(自生刃性が高いといいます)、常に新しい切れ刃が出続けるため、切れ味が鋭く発熱が少ないのが特徴です。ただしAと比べると靭性(粘り強さ)はやや低めです。
工業用途では、研削熱で焼けやすい精密部品の仕上げ研削や、焼入れ鋼・ステンレス・工具鋼のような「硬いが熱に弱い」被削材の研削に使われます。
家庭用途では、包丁の刃こぼれ直しを(電動で直すなら)両頭グラインダー用の交換砥石として手に入りやすいです。ステンレス包丁のような硬い刃物を粗く研ぎ直したいときの選択肢になります。
SK11(エスケー11) 両頭グラインダー用 研磨砥石 セフティポリッシュB 焼入鋼・ステンレス用 WA80N



SK11のこの砥石は焼入れ鋼・ステンレス用とはっきり書かれているのが分かりやすいです。WA(白色アランダム)の特性がそのまま製品名に出ている良い例だと思います。
SK11の両頭グラインダー用ポリッシュ砥石は、粒度WA80N(WA=白色アランダム、#80番手)の卓上グラインダー用ホイールです。焼入れ鋼・ステンレスといった「硬いが熱に弱い」被削材向けとメーカーが明記しており、WA砥粒の特性(欠けやすく発熱が少ない)がそのまま製品の用途表記になっています。


両頭グラインダー(卓上グラインダー)に取り付けて使うタイプで、ノミ・カンナなど刃物の刃こぼれ直しや、ステンレス部品のバリ取りに向いています。取り付け前に本体の許容回転数と砥石側の最大使用周速度が合っているか必ず確認してください。


GC(緑色炭化ケイ素)
GCは炭化ケイ素(SiC)系の中でも純度が高く、緑色をしています。一般砥粒の中では最も硬い部類に入りますが、その分靭性は低く欠けやすいため、硬くて脆い材料の研削に向いています。
工業用途では、超硬合金(タングステンカーバイド系の工具材)、ガラス、セラミックス、石材、アルミなどの非鉄金属の研削・研磨に使われます。超硬チップ付きの刃物やドリルの研ぎ直しはGCの代表的な出番です。
家庭で超硬工具を研ぐ機会は多くありませんが、超硬刃のカッターやガラス細工・陶芸道具のメンテなど、一般砥粒(WA/A)では歯が立たない硬い材料を扱う場合に検討する材質です。
マキタ(Makita) 研削砥石(平形砥石) A-61391 粒度GC120 外径150mm



マキタのこの砥石はGC(緑色炭化ケイ素)砥粒がそのまま型番と一緒に明記されているので、材質を確認しながら選びたい人には安心感があります。
マキタの研削砥石A-61391は、粒度GC120(GC=緑色炭化ケイ素)のビトリファイド(結合剤に陶磁器質を使うタイプ)砥石です。GC砥粒は一般砥粒の中でも硬さがトップクラスで、超硬合金・ガラス・セラミックスのような硬くて脆い材料の研削に向いています。


卓上グラインダー(GB602/GB602W等)に取り付けて使う平形砥石で、ビトリファイド結合剤は水分による劣化に強く、最後まで使い切れるのが利点です。家庭で超硬工具を研ぐ機会は多くありませんが、超硬刃のカッターやドリルの刃先を研ぎ直したい場合に選択肢になります。


C(黒色炭化ケイ素)
CはGCと同じ炭化ケイ素系ですが純度がやや低く、黒〜灰色をしています。硬さはGCよりやや劣りますが、コストが安く、脆さゆえに削れる速さでは有利な場面があります。
工業用途では、鋳鉄のバリ取りや、黄銅・アルミといった非鉄金属、ガラス・石材・ゴム・皮革など「引張強度が低い」材料の研削に使われます。
家庭用途で意外な出番が「荒砥石(粗く研ぎ直す用の砥石)」です。刃こぼれを直すような粗研ぎでは削れる速さが重視されるため、Cの脆さがむしろ有利に働きます。なお姉妹記事「油砥石・水砥石の選び方」で紹介した面直し用砥石(貝印093AP2475)も色味から炭化ケイ素(C)系と推定され(メーカー公式の材質表記は確認できず)、荒砥・面直しという「速く削りたい」用途とCの相性の良さがうかがえます。
遠藤商事(TKG) 業務用砥石 特大型(#220) 荒砥 炭化ケイ素 ATIB501



この砥石は炭化ケイ素(C系)の荒砥です。粗く削る力を重視する荒砥には、GCより脆いC(黒色炭化ケイ素)が使われることが多いんですよ。
遠藤商事(TKG)の業務用荒砥ATIB501は、#220相当の炭化ケイ素(C=黒色炭化ケイ素)製で、ホテル・旅館・飲食店の厨房など業務用途で大きく刃こぼれした包丁の形を直す「荒研ぎ」向けに作られています。GC(緑色)より純度は落ちますが、その分コストが抑えられ、脆さゆえの速い削れ方が粗研ぎには好都合です。


サイズは230×90×60mmと大きく、家庭用の小さな荒砥石よりも安定して研ぎやすいのが特徴です。日常の研ぎ直しでは出番がありませんが、刃こぼれの修理や包丁の形を大きく変えたいときに使います。使用後は水気を拭き取り、カビを防ぐため風通しの良い場所で保管してください。


A(褐色アランダム/褐色溶融アルミナ)
AはWAと同じ酸化アルミニウム系ですが、酸化チタンなどの不純物を含むため褐色をしています。WAより硬さは劣るものの靭性(粘り強さ)が高く、欠けにくいのが特徴です。
工業用途では、一般鋼材・軟鋼のような「引張強度が高い」材料の下地研削・バリ取りに使われます。姉妹記事で紹介した大和製砥所のAコンビ油砥石(荒目+細目)も同じAグループです。
家庭用途では、日曜大工での鉄工具の刃こぼれ直しや、金属パーツのバリ取り用の油砥石として扱いやすい材質です。
大和製砥所(Yamato) 油砥石 角 A極細目 ブラウン 100×25×13mm



同じ大和製砥所でも、この極細目タイプは姉妹記事のAコンビ(荒目+細目)とは違う番手構成の単品です。A(褐色アランダム)の粘り強さは工業向けの下地研ぎで定評があります。
大和製砥所の油砥石(A極細目)は、A=褐色アランダム(褐色溶融アルミナ)を使った角形の油砥石です。WAより純度は落ちますが靭性(粘り強さ)が高く欠けにくいため、鉄・鋼のような引張強度が高い材料の下地研ぎ・バリ取りに向いています。


姉妹記事「油砥石・水砥石4選」で紹介したAコンビ(荒目+細目の両面タイプ)とブランドは同じですが、こちらは極細目の単品です。工業用途のバリ取り仕上げや、日曜大工での鉄工具の刃こぼれ直しに向いています。使用後は乾いた布で油を拭き取り、水洗いは厳禁です。


砥粒の選び方【超砥粒】ダイヤモンドとCBNの違い
一般砥粒4種類では歯が立たない硬い材料向けに使われるのが、ダイヤモンドとCBNの2つの「超砥粒」です。同じ超砥粒でも、この2つは向く被削材がはっきり分かれるので注意してください。
ダイヤモンド
ダイヤモンドは天然に存在する物質の中で最も硬く、研削材として使われるものは工業的に生成された人造ダイヤモンドが主流です。超硬合金・セラミックス・ガラス・石材のような、一般砥粒(WA/A/C/GC)では歯が立たない硬い材料の研削・研磨に使われます。
工業用途では超硬合金・セラミックス工具の刃先研磨にダイヤモンドホイールが使われます。ただし弱点もあり、鉄系金属(鋼)を高速・高熱で機械研削すると、鉄とダイヤモンド(炭素)が化学反応して急激に摩耗する(黒鉛化)ため、鉄の高速機械研削にはあまり向きません。
一方、包丁を人の手でゆっくり研ぐような用途では発熱が少なく黒鉛化の問題が起きにくいため、家庭用のダイヤモンドシャープナーとして広く普及しています。目詰まりしにくく面直しがほぼ不要という扱いやすさも人気の理由です。
ダイヤモンドシャープナー 両面砥石 #400/#1000 家庭用両刃対応





ダイヤモンド砥石は水に浸す手間がいらず、目詰まりもしにくいので、面直しの手間を減らしたい人には扱いやすい選択肢です。
このダイヤモンドシャープナーは#400(荒目)/#1000(中目)の両面タイプで、台座となる金属板にダイヤモンド砥粒を電着させた構造です。ダイヤモンドは天然物質の中で最も硬く(この製品を含め研削材用途では人造ダイヤモンドが一般的です)、キング・シャプトンのような一般砥粒の水砥石では時間がかかる硬いステンレス包丁でも、比較的短時間で刃を付けられます。


目詰まりしにくく面直しがほぼ不要という扱いやすさから家庭用のシャープナーとして広く普及していますが、電動グラインダーで鋼材を高速・高熱で研削する用途にはあまり向きません(後述の注意点で理由を解説します)。包丁・ハサミ・斧など幅広い刃物に対応します。


CBN(立方晶窒化ホウ素)
CBNはダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ人工の超砥粒です。ダイヤモンドと違って鉄系金属と化学反応しにくいため、高速回転させる機械研削でも焼入れ鋼・高速度鋼(ハイス)のような硬い鉄系材料に安定して使えます。
工業用途では、ダイヤモンドが苦手とする「鉄系材料の高能率・高速機械研削」をCBNが担います。刃物研ぎのプロや金型メーカーが、ハイス鋼の旋盤バイトや木工旋盤(ろくろ)用の刃物を頻繁に研ぎ直す用途で使う専門的な砥粒です。
価格が非常に高く、一般家庭で包丁を研ぐだけの用途で使う場面はほぼありません。詳しくは後述の「買わなくていい砥粒」で解説します。
UF-Sharp CBN グラインディングホイール 20.3cm(8インチ) 80グリット



CBNホイールはこの価格帯からも分かる通り完全にプロ・専門用途向けです。家庭で日常的に使う場面はほぼないと考えて大丈夫です。
UF-SharpのCBN(立方晶窒化ホウ素)グラインディングホイールは、8インチの卓上グラインダー用交換砥石です。CBNはダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ人工の超砥粒ですが、ダイヤモンドと違って鉄系金属と化学反応しにくいため、高速回転させる機械研削でも焼入れ鋼・高速度鋼(ハイス)のような硬い鉄系材料に安定して使えます。


刃物研ぎのプロや金型メーカーなど、ハイス鋼の旋盤バイトや木工旋盤(ろくろ)用の刃物を頻繁に研ぎ直す専門用途向けの製品です。価格が2万円を超えるため、一般家庭で包丁を研ぐだけの用途にはまず不要です(詳しくは「買わなくていい砥粒」で解説)。


組み合わせ方:複数の砥粒をどう使い分けるか
砥粒は1種類だけ持っていればいいわけではなく、用途に応じて使い分けるのが基本です。実践的な組み合わせ方の例を紹介します。
包丁の刃こぼれ直し=まずC(黒色炭化ケイ素)系の荒砥石で形を整え、そのあとは普段使いのWA系・アルミナ系の中砥・仕上げ砥(番手の選び方は姉妹記事参照)へ進みます。
金属工作=鉄・鋼のバリ取りにはA(褐色アランダム)の油砥石、超硬工具やガラスの加工が必要になったときだけGC(緑色炭化ケイ素)を追加する、という順番が無駄がありません。
刃物研ぎを本格的に始める場合=家庭用途ならダイヤモンドシャープナー1本で荒目・中目をカバーし、必要に応じて仕上げ用の水砥石を足すのが手軽です。CBNは機械で鉄系材料を高速研削する専門用途向けなので、家庭の刃物研ぎでは基本的に出番がありません。
メンテナンス用アクセサリー:砥粒によって変わる手入れ方法
水砥石・油砥石の面直し(表面の凹みを平らに直す作業)については姉妹記事「油砥石・水砥石の選び方」で詳しく解説しているので、ここでは砥粒の材質によって手入れの呼び方・考え方が変わる点を補足します。
一般砥粒(WA/A/C/GC)の水砥石・油砥石=面直し用砥石でこすって表面を平らに戻します。
ビトリファイド(陶磁器質結合剤)の卓上グラインダー用ホイール=「目立て(ドレッシング)」と呼ばれる作業で、ダイヤモンドドレッサーという専用工具を使います。水砥石の「面直し」とは呼び方も道具も異なるので、卓上グラインダー用のGC・WAホイールを使う場合はドレッサーが必要になる点を覚えておいてください。
ダイヤモンドシャープナー=電着タイプは目詰まりしにくく、面直しやドレッシングがほぼ不要です。使用後に水で軽く洗い流すだけで手入れが完了します。
イチネンアクセス リリーフ(RELIFE) ベンチグラインダー専用 ダイヤモンドドレッサー 28279



WA・GC・Aのようなビトリファイド結合剤の卓上グラインダー用ホイールを使うなら、このドレッサーも一緒に揃えておくと安心です。
リリーフのダイヤモンドドレッサー28279は、ベンチグラインダー(卓上グラインダー)専用の目立て(ドレッシング)工具です。先端のダイヤモンド粒子で砥石表面を削り直し、目詰まりで低下した研削力を回復させたり、使用中に生じた偏摩耗(片減り)を平らに修正したりします。


前述の通り、水砥石・油砥石の「面直し」とはやり方も道具も別物です。WA・GC・Aのビトリファイド砥石を卓上グラインダーで使う場合は、このドレッサーを砥石に軽く押し当てて回転させながら表面を削るように使います。保護メガネを着用し、グラインダーを停止させた状態で作業してください。


買わなくていい砥粒:家庭には不要な組み合わせ
砥粒も番手と同じく、揃えるほど良いと思われがちですが、家庭用途では過剰投資になりがちです。ここは正直にお伝えします。
CBNホイール=1本2万円を超える価格帯で、鉄系材料を機械で高速研削する専門用途向けです。家庭で包丁やノミ・カンナを研ぐだけなら、まず出番はありません。
GCの卓上グラインダー用ホイール=超硬工具やガラス・セラミックスを研削する予定がなければ不要です。一般的な鋼材の刃物ならAやWAで十分対応できます。
複数の同系統砥粒を並行所持=同じグループ(アルミナ系ならWA・A、炭化ケイ素系ならGC・C)を両方揃える必要はほとんどありません。まずは主な被削材に合わせて1系統から始め、必要になってから買い足す方が無駄がありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 砥石に「WA」「GC」などの表記がない場合はどう判断すればいいですか?
A. パッケージや製品ページに色(白・褐色・黒・緑)の記載があれば、本記事の表を目安に判断できます。表記が一切ない安価な砥石は、無理に材質を推測せず、対象の被削材(包丁なのか金属パーツなのか)に合わせて実績のあるブランド品を選ぶのが無難です。
Q. ダイヤモンド砥石があればCBNは不要ですか?
A. 家庭で刃物を手研ぎするだけならダイヤモンド砥石で十分です。CBNが本領を発揮するのは、鉄系材料を機械で高速・高熱研削する工業用途なので、家庭用途では基本的に不要と考えて問題ありません。
Q. GCとCはどちらを買えばいいですか?
A. 超硬合金・ガラス・セラミックスのような硬くて脆い材料を研削するならGC、鋳鉄や非鉄金属(アルミ・真鍮)、あるいは荒砥石のように「とにかく速く削りたい」用途にはCが向いています。迷ったらコストの低いCから試すのも一つの方法です。
Q. 砥粒の材質が違うと番手の選び方も変わりますか?
A. いいえ、番手(#の数字が小さいほど粗い)の基本的な考え方はどの材質でも共通です。番手の詳しい選び方・組み合わせ方は姉妹記事「油砥石・水砥石の選び方」を参照してください。
使用時の注意点
卓上グラインダー用のホイール(WA・GC等)を使う場合、本体の許容回転数と砥石側の最大使用周速度が必ず一致している必要があります。合っていない砥石を無理に取り付けると、高速回転中に砥石が破損・破裂する重大な事故につながるため、購入前に対応機種や周速度の表記を必ず確認してください。
ダイヤモンド砥石は硬い材料に強い反面、鉄系金属を高速・高熱で機械研削すると急激に摩耗する弱点があります。人の手でゆっくり研ぐ用途(包丁の手研ぎ等)では問題になりませんが、電動工具でダイヤモンドホイールを使って鋼材を研削する用途には向いていない点に注意してください。
CBNホイールは価格が高いため、必要な用途を明確にしてから購入することをおすすめします。「なんとなく良さそうだから」で選ぶと、家庭用途ではオーバースペックになりがちです。



砥石選びは番手だけでなく、砥粒(材質)にも目を向けると失敗が減ります。手元の刃物・部品がどんな材質かを確認してから、それに合う砥粒を選んでみてください。
まとめ
砥石の”種類”には番手(粗さ)と砥粒(材質)という2つの軸があり、砥粒の違いが向く被削材を大きく左右します。焼入れ鋼・ステンレスにはWA、超硬合金やガラスにはGC、鋳鉄・非鉄金属にはC、一般鋼材にはA、家庭での手研ぎにはダイヤモンド、機械での鉄系材料の高速研削にはCBNが向いています。
番手の具体的な選び方・組み合わせ方は姉妹記事「油砥石・水砥石の選び方」で詳しく解説しているので、本記事の砥粒の知識とあわせて、手元の刃物や部品に合った1本を選んでみてください。





