メナどうも、機械と電気の両方をこなすハイブリッドエンジニア、メナ(@menachite)です。今回はスマホ接続型のサーモグラフィカメラの比較です。建築物の雨漏り点検や電気設備の発熱チェックに使える1台を探している方向けにまとめました。
サーモグラフィカメラは、赤外線放射温度計のような「点」で測る機器と違い、対象物の温度分布を「面」で見える化できるのが最大の特徴です。結論は、価格を抑えて試したいならTOPDON TC001、広角で精度重視ならHIKMICRO Mini2 V2、業務用途でワイヤレス運用したいならFLIR ONE EDGE Proが向いている、ということです。理由は後述します。
今回は価格帯・接続方式の異なる4製品(HIKMICRO Mini2 V2・FLIR ONE EDGE Pro・TOPDON TC001・Seek Thermal Compact-PRO)を比較しました。IR解像度・接続方式(有線/ワイヤレス)・対応端末の3軸で見ていくと、ご自身の点検用途にどれが合うかが見えてきます。
注意していただきたいのは、既存記事で紹介しているFLUKE 62MAXのような「赤外線放射温度計」とは別カテゴリの製品だという点です。放射温度計は1点の温度を数値で測るのに対し、サーモグラフィカメラは温度分布を画像として面で見える化できます。壁全体の断熱状況や配線盤全体の発熱箇所を一目で把握したい場合は、サーモグラフィカメラの方が圧倒的に向いています。
結論:目的別おすすめ早見表
先に結論です。「価格を抑えてまず試したい」ならTOPDON TC001、「広角・高精度で本格的に点検したい」ならHIKMICRO Mini2 V2を選べば間違いありません。業務でワイヤレス運用したいならFLIR ONE EDGE Pro、解像度重視でAndroidをお使いならSeek Thermal Compact-PROが候補になります。
| 製品 | IR解像度 | 接続方式/対応端末 | 価格(税込目安) | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| HIKMICRO Mini2 V2 | 256×192(広角50°) | Android/iOS(有線) | ¥31,980 | 広角・高精度で本格点検したい人 |
| FLIR ONE EDGE Pro | 160×120(スーパー解像度320×240) | Android/iOS共通(Bluetooth) | ¥128,000 | 業務用途でワイヤレス運用したい人 |
| TOPDON TC001 | 256×192(TISR技術で512×384表示) | Android専用(有線) | ¥26,999 | 価格を抑えてまず試したい人 |
| Seek Thermal Compact-PRO | 320×240(76,800画素) | Android専用(USB-C有線) | ¥33,000前後 | 解像度を重視したいAndroidユーザー |
スマホ用サーモグラフィカメラおすすめ4選
HIKMICRO Mini2 V2 サーモグラフィーカメラ(スマホ接続型)



本体だけで20gしかないので、点検先にスマホと一緒にポケットへ入れてサッと持ち運べるのが正直かなり楽です。
HIKMICRO Mini2 V2は、256×192のIR解像度とSuperIR技術を組み合わせたスマホ接続型サーモグラフィカメラです。50°の広角レンズを採用しているため、住宅の壁面や電気盤全体など、広い範囲を1枚でカバーしたい建築・電気設備点検に向いています。バッテリー不要でスマホから給電するプラグアンドプレイ方式なので、現場で充電切れを気にする必要がありません。


ハッキリ言うと3製品の中では価格が一番高めです。またAndroid/iOS両対応とはいえ、機種によっては専用アプリの動作確認が必要な場合があります。購入前にご自身のスマホの対応状況を公式の互換性リストで確認しておくと安心です。


それでも±2℃・0.04℃差検出という精度と3年保証(センサー10年保証)の手厚さは心強いポイントです。雨漏り箇所の特定や電気設備の発熱チェックを本格的に行いたい人におすすめできる1台です。


FLIR(フリアー) ONE EDGE Pro スマートフォン用ワイヤレスサーマルイメージングカメラ



ケーブル接続じゃなくBluetoothでスマホと繋がるので、手の届かない天井裏や狭い配線スペースにカメラだけ差し込んで撮影できるのが便利です。
FLIR ONE EDGE Proは、サーマルイメージングの老舗ブランドFLIR(フリアー)が手掛けるワイヤレスサーマルカメラです。最大の特徴はBluetoothによるワイヤレス接続で、スマホに直接挿すケーブル式と違い、カメラ本体だけを離れた場所や見えない角度に設置して撮影できます。Android/iOSどちらでも同じ本体を使い回せるのも実用的です。


ただし価格は3製品の中で圧倒的に高く、個人の日曜大工用途にはハードルが高めです。プロの点検業者や、複数のスマホ・タブレットを併用する現場での運用を想定した製品と考えたほうがよさそうです。


それでもFLIRブランドの信頼性とクラウド対応による点検データ管理のしやすさは、業務で継続的にサーモグラフィ点検を行う人にとっては価格差を払っても十分に元が取れます。本格的な業務利用を検討している人におすすめです。


TOPDON TC001 赤外線サーモグラフィカメラ(Android Type-C用)



-20℃〜550℃まで測れて3製品中もっとも安いので、価格を抑えつつ実用十分な性能が欲しい人にはかなり刺さるバランスだと思います。
TOPDON TC001は、TISR技術によってIR解像度256×192を512×384相当まで高画質化して表示する、Android Type-C専用のサーモグラフィカメラです。-20℃〜550℃という3製品中もっとも広い温度測定範囲を持ち、電気設備の発熱点検から水漏れ・雨漏り箇所の特定まで幅広く対応できます。価格も3製品中もっとも安く、導入のハードルが低いのが魅力です。


ただしiPhoneには非対応で、Android(Type-C)端末専用です。iPhoneユーザーは購入前に必ず対応端末を確認してください。またHIKMICRO・FLIRと比べるとブランドの知名度はまだ高くなく、サポート体制の手厚さでは大手2社に一歩譲ります。


それでも-20℃〜550℃の広い測定範囲と価格のバランスは魅力的です。まずは価格を抑えてサーモグラフィカメラを試してみたいAndroidユーザーにおすすめの1台です。


Seek Thermal(シークサーマル) Compact-PRO USB-C Android用サーモグラフィーカメラ



320×240という解像度は正直このクラスでは頭ひとつ抜けていて、細かい配線の発熱箇所までくっきり見分けられるのが体感でわかります。
Seek Thermal Compact-PROは、2014年からスマホ用サーマルカメラを手掛ける老舗ブランドSeek ThermalのAndroid向けUSB-Cモデルです。320×240(76,800画素)という解像度は、今回紹介した4製品の中でもトップクラス。測定温度範囲は-40℃〜330℃で、細かい配線の発熱や壁内の断熱不良まで鮮明に可視化できます。


正直なところ、Android(USB-C)専用でiPhoneには対応していません。iPhoneユーザーはHIKMICRO Mini2 V2かFLIR ONE EDGE Proを検討してください。またTOPDON TC001と比べると価格はやや高めです。
それでも解像度の高さは4製品中随一で、細かい温度差を正確に見極めたい電気設備点検・建築診断のプロにおすすめできる1台です。


サーモグラフィカメラの基礎知識・選び方
サーモグラフィカメラは、対象物が放射する赤外線を検知して温度分布を画像化する機器です。赤外線放射温度計が対象物の1点の温度を数値で表示するのに対し、サーモグラフィカメラは面全体の温度差を色分けした画像として表示できるため、異常箇所を目視で一瞬で把握できます。
IR解像度で選ぶ
IR解像度が高いほど、より細かい温度差を鮮明な画像として捉えられます。256×192クラスであれば住宅・電気設備点検には十分な精細さです。TISR技術やSuperIR技術のような画像処理で解像度を補完しているモデルも多く、ネイティブ解像度と補完後の表示解像度の違いを確認しておくと安心です。
接続方式(有線/ワイヤレス)で選ぶ
有線(USB-C/Lightning)接続タイプはスマホに直接挿すだけで手軽に使えますが、カメラをスマホから離して使うことはできません。ワイヤレス(Bluetooth)タイプはカメラ本体だけを狭い場所や見えない角度に設置して撮影できる反面、価格は高くなる傾向があります。
使い方のコツ
雨漏り点検では、天井や壁の温度差が出やすい「気温差が大きい時間帯」(朝方や雨天直後など)に撮影すると異常箇所が見つけやすくなります。僕自身、日中の暑い時間帯に撮影して温度差がほとんど見えず、時間帯を変えて撮り直したことがあります。
電気設備の発熱点検では、対象物との距離と角度を一定に保って撮影するのがコツです。距離が変わると同じ発熱箇所でも表示される温度が変動して見えることがあるため、定期点検では毎回同じ距離・角度で撮影記録を残すと経年変化を比較しやすくなります。
選び方・注意点
対応端末(Android/iOS、Type-C/Lightning)は購入前に必ず確認してください。特にTOPDON TC001のようにAndroid専用でiPhone非対応のモデルもあるため、ご自身が使うスマホの対応状況を公式サイトの互換性リストでチェックしておくと安心です。
表示される温度は対象物の放射率や周囲の環境温度によって誤差が生じることがあります。正確な温度管理が必要な業務用途では、定期的な校正やメーカーサポート体制も比較材料に入れておくとよいです。
サーモグラフィカメラ専用アクセサリー|あると便利な周辺機器
カメラ本体だけでなく、周辺アクセサリーを揃えることで現場での使い勝手がさらに向上します。
延長ケーブル・変換アダプター
狭い配線スペースや手の届きにくい場所を点検する際は、延長ケーブルがあるとカメラ本体を対象物に近づけやすくなります。HIKMICRO Mini2 V2には60cmの延長ケーブルが標準付属していますが、他モデルでも別売品で対応できる場合があります。
専用収納ケース
カメラ本体は精密機器のため、現場への持ち運び時は専用の収納ケースに入れて保護することをおすすめします。落下や粉じんからレンズ部分を守ることで、長期的な精度維持につながります。
よくある質問
Q. サーモグラフィカメラと赤外線放射温度計はどう違いますか?
A. 放射温度計は対象物の1点の温度を数値で測る機器です。一方サーモグラフィカメラは温度分布を画像として面で見える化できるため、壁全体や配線盤全体から異常箇所を一目で見つけたい用途にはサーモグラフィカメラの方が向いています。
Q. iPhoneでも使えますか?
A. HIKMICRO Mini2 V2・FLIR ONE EDGE ProはAndroid/iOS両対応ですが、TOPDON TC001はAndroid(Type-C)専用でiPhoneには対応していません。購入前に対応端末を必ず確認してください。
Q. 精度はどのくらい信頼できますか?
A. 製品ごとに公称の精度(±2℃など)がありますが、実際の測定値は対象物の放射率や周囲温度の影響を受けます。異常箇所の発見・傾向把握には十分実用的ですが、厳密な数値管理が必要な業務では校正されたプロ用機材との併用も検討してください。



温度を面で見える化できると、目視だけでは気づけない異常箇所が一気に分かりやすくなります。ご自身の点検用途に合わせて選んでみてください。
まとめ
スマホ用サーモグラフィカメラ3製品を、IR解像度・接続方式・価格の3軸で比較しました。価格を抑えてまず試したいならTOPDON TC001、広角・高精度で本格的に点検したいならHIKMICRO Mini2 V2、業務でワイヤレス運用したいならFLIR ONE EDGE Proが候補です。
いずれも対応端末(Android/iOS)を事前に確認してから選べば失敗しにくい機器です。ご自身の点検対象(建築物か電気設備か)と予算に合わせて選んでみてください。
