メナどうも、機械と電気の両方をこなすハイブリッドエンジニア、メナ(@menachite)です。今回は「制御盤製作でプロがどう工具を選ぶか」という視点で、ラインナップを厚くしてお伝えします。
当サイトには生産設備の電気配線全般を扱った関連記事生産設備の電気配線に必要な工具は何?がすでにありますが、あちらは盤内外を問わず使用実績のある工具を幅広く紹介したものです。この記事はそこから対象を「制御盤製作」に絞り込み、工程ごとにどの工具を・なぜ選ぶかをプロの視点で1点ずつ解説します。
結論から先にお伝えすると、この記事で選んだのは端子処理・被覆処理・切る/つかむ/締める・検査という5つの工程に対応する20点と、消耗品のアクセサリー1点をあわせた計21カードです。数を揃えることよりも、工程ごとに専用工具を分けることを優先しています。工具だけ先に知りたい方は次の早見表へ、選び方の考え方から読みたい方はこのまま読み進めてください。
早見表:制御盤製作の工具20点+消耗品1(頻度×工程)
| 工程 | 製品(型番) | 制御盤での使用頻度 |
|---|---|---|
| 端子処理 | CRIMPFOX 6(フェルール圧着) | 高い |
| 端子処理 | ロブテックス AK15A(裸端子・小径) | 高い |
| 端子処理 | マーベル MHK-60(裸端子・大径) | 中 |
| 端子処理 | ホーザン P-736(CE端子圧着) | 中 |
| 端子処理 | ロブテックス AK112MA(絶縁被覆接続圧着) | 中 |
| 被覆処理 | ベッセル No.3500E-1(ワイヤーストリッパー) | 高い |
| 被覆処理 | フジ矢 PP707A-200(セルフアジャストストリッパー) | 中 |
| 被覆処理 | ベッセル 3700KS(ケーブルストリッパー) | 中 |
| 切断・把持 | クニペックス 7813-125(ニッパー クランプ付) | 高い |
| 切断・把持 | ホーザン N-18(ケーブルカッター) | 中 |
| 切断・把持 | フジ矢 380-170(ラジオペンチ) | 中 |
| 切断・把持 | フジ矢 FA106(万能電工ペンチ) | 中 |
| 切断・把持 | クニペックス 8711-250(ウォーターポンププライヤー) | 低い |
| 切断・把持 | トップ工業 HM-38M(モンキーレンチ) | 低い |
| 締結 | マキタ DF033DSHS(充電ドライバー) | 高い |
| 締結 | WERA 917 SPH(チゼルドライバー) | 高い |
| 締結 | WERA マイクロドライバーセット | 中 |
| 締結 | ANEX ATA-S1(トルクアダプターセット) | 締結のたび(登場率は低) |
| 検査 | ホーザン P-670(ピンセット) | 中 |
| 検査 | サンワ PM-3(テスター) | 中 |
| アクセサリー | ニチフ Y形端子(消耗品) | 結線のたび消費 |
この記事の選び方の考え方
選んだのは、制御盤製作に固有の5つの工程(端子処理・被覆処理・切る/つかむ/締める・検査)に沿った工具です。同じ工程でも対応範囲が異なる製品は分けて紹介し、逆に制御盤製作でほぼ出番のない工程(検電・現場加工など)は扱わず、関連記事生産設備の電気配線に必要な工具は何?に譲っています。
品目数はあらかじめ決めていたわけではなく、実際に工程を洗い出した結果が20点になりました。候補に挙がった品目でも、個人が購入できる適合品を確認できなかったものは無理に含めず、見送った理由とあわせてこの記事の後半にまとめています。
端子処理の工具
フエニックスコンタクト(PHOENIX CONTACT) CRIMPFOX 6 フェルール圧着工具 0.25〜6.0mm²



フェルール端子はダイスの形状が合わないと圧着面がつぶれて接触不良につながります。制御盤の結線で一番出番が多い工程なので、最初の1本に選んでいます。
| 型番 | CRIMPFOX 6(品番1212034) |
| 適用範囲 | 0.25〜6.0mm²(AWG24〜10) |
| 全長/重量 | 198mm/358g |
| 準拠規格 | 絶縁被覆なしフェルール=DIN46228 Part1、絶縁被覆付き=DIN46228 Part4 |
プロが選ぶ理由:制御盤配線の大半で最初に出番が来る端子処理だから/制御盤での使用頻度:高い/なぜ:フェルール(棒端子)はばね式端子台や端子台全般で標準的に使う端子で、専用のダイス形状でないと圧着不良が直接接触不良につながります。
フエニックスコンタクトCRIMPFOX 6は、フェルール(棒端子)専用の圧着工具です。DIN46228 Part1(絶縁被覆なし)・Part4(絶縁被覆付き)の両方に対応し、0.25〜6.0mm²(AWG24〜10)の範囲をこの1本でカバーします。台形圧着(トラペゾイド)により、より線の断面をつぶしすぎずに保持力を確保できる設計です。


制御盤内の配線は、端子台やリレーへの接続にフェルール端子を使う場面が非常に多くなります。ダイスの形状は端子のサイズ・形状に厳密に紐づいており、サイズが合わないダイスで圧着すると圧着面が不均一になり、緩み・発熱の原因になります。プロが最初に選ぶとしたら、まずこの工具からという位置づけです。


ロブテックス(LOBSTER) 裸圧着端子・裸圧着スリーブ用圧着工具 AK15A



フェルール端子で対応できるのは棒端子だけです。アース線や丸形端子を使う箇所は別の工具が必要になるので、用途が重ならない2本目として選んでいます。
| 型番 | AK15A |
| 使用範囲 | 裸圧着端子・裸圧着スリーブ 1.25/2/5.5/8mm² |
| 全長/重量 | 256mm/430g |
プロが選ぶ理由:フェルール工具と用途が重ならない2本目だから/制御盤での使用頻度:高い/なぜ:丸形端子・Y形端子(アース線や盤外への引き出し線でよく使う)はフェルール工具では圧着できません。
ロブテックスAK15Aは、裸圧着端子・裸圧着スリーブ(P・B形)に対応する圧着工具です。使用範囲は1.25〜8mm²で、制御盤のアース線処理や端子台まわりの丸形・Y形端子の圧着に使います。ハンドル開口部が狭い設計で、片手での予備位置決めがしやすいのが特徴です。


制御盤製作では、フェルール端子で処理する箇所と、丸形・Y形端子で処理する箇所が混在します。1本の工具で兼用しようとすると圧着不良の原因になるため、フェルール用と裸端子用は分けて揃えるのが基本の構成です。


マーベル(MARVEL) 強力圧着工具 裸圧着端子・スリーブ用 MHK-60





端子サイズが大きくなると、小径用の工具では圧着力が足りずうまく潰せません。盤の主幹まわりなど太い端子を扱う工程には、対応範囲が広い専用工具を分けて用意しています。
| 型番 | MHK-60 |
| 使用範囲 | 裸圧着端子・スリーブ 22/38/60mm² |
プロが選ぶ理由:AK15Aでは対応しきれない太い端子に備えるため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:制御盤の主幹配線や動力系の引き込みでは22mm²を超える太い端子を圧着する場面があり、細径用工具では圧着力・ダイス形状とも対応できません。
マーベルMHK-60は、22/38/60mm²という太いサイズの裸圧着端子・スリーブに対応する強力圧着工具です。細径用のAK15Aとは対応範囲が重ならず、大きいサイズの端子を圧着するための専用工具という位置づけになります。


制御盤製作の大半の配線は細径〜中径の端子で済みますが、主幹や動力系の太い電線を扱う工程が一度でもあるなら、対応範囲外の工具で無理に圧着するリスクを避けるため、この工具を後から追加する形で揃えておくと安心です。


ホーザン(HOZAN) 圧着工具(絶縁閉端子用) 圧着ペンチ サイズCE1/2/5 P-736



CE端子(閉端子)は専用のダイス形状でないと圧着できません。丸形・Y形端子とは別の工具として1本用意しています。
| 型番 | P-736 |
| 使用範囲 | 絶縁閉端子 CE1/CE2/CE5 |
| 全長/重量 | 198mm/300g |
プロが選ぶ理由:閉端子(CE端子)は専用ダイスでないと圧着できないため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:CE端子は電線同士を絶縁被覆ごと接続する閉端子で、裸圧着端子とはダイス形状が異なります。
ホーザンP-736は、CE1/CE2/CE5サイズの絶縁閉端子(CE端子)専用の圧着ペンチです。トグル機構でストロークごとの握力を抑えられ、圧着完了を確認できるラチェット機構を備えています。


CE端子は電線同士を絶縁被覆ごとつなぐ閉端子で、制御盤内の中継配線や予備線の処理で使う場面があります。専用ダイスでないと圧着不良になるため、裸端子用・フェルール用とは別に1本用意しておくのがプロの構成です。


エビ(LOBSTER) 絶縁被覆付圧着端子用 使用範囲0.3・0.5・1.25・2・3.5・5.5 AK112MA



絶縁被覆がついたまま圧着できる端子は、裸端子用の工具では被覆をつぶしてしまいます。被覆付きの端子・スリーブ専用に分けています。
| 型番 | AK112MA |
| 使用範囲 | 絶縁被覆付圧着端子・スリーブ 0.3/0.5/1.25/2/3.5/5.5mm² |
プロが選ぶ理由:絶縁被覆付きの端子・直管スリーブを潰さず圧着するため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:裸端子用のダイスは被覆付き端子の形状に合わず、そのまま圧着すると被覆が破れたり潰れたりします。
エビ(ロブテックス)AK112MAは、絶縁被覆付きの圧着端子・圧着スリーブに対応するミニ圧着工具です。0.3〜5.5mm²の6サイズに対応し、軽量コンパクトな本体で扱いやすいのが特徴です。


制御盤内では、被覆を剥かずに芯線同士を直管(ストレートスリーブ)でつなぐ配線や、被覆付き端子で仕上げたい箇所があります。裸端子用の工具と兼用せず専用工具を分けることで、被覆を傷めずに圧着できます。


被覆処理の工具
ベッセル(VESSEL) ワイヤーストリッパー No.3500E-1(単線・より線用)



穴の径が合っていないと芯線に刃が当たって傷がつき、断線や発熱の原因になります。制御盤の配線は線サイズが限られているので、AWG表記のある穴径固定式で十分だと考えています。
| 型番 | No.3500E-1 |
| 適用電線 | AWG12/14/16/18/20/22/24(単線・より線用) |
| 全長/重量 | 155mm/100g |
| 特長 | ダイヤモンド精密砥石研磨の刃、グリップにAWG/mm/mm²換算表付き |
プロが選ぶ理由:圧着・結線の前工程として全ての配線作業で使うため/制御盤での使用頻度:高い/なぜ:対応サイズを外すと芯線を傷つけ、折れ・発熱の原因になるため工具選びの精度が結果に直結します。
ベッセルNo.3500E-1は、AWG12〜24の範囲に対応した穴径固定式のワイヤーストリッパーです。刃はダイヤモンド精密砥石で研磨されており、被覆だけを正確に剥いて芯線を傷つけにくい設計になっています。


穴径が合わない工具で無理に剥くと、芯線に微小な傷が入り、その部分から折れたり発熱したりするリスクがあります。制御盤で使う電線サイズはある程度絞られるため、自動調節式より穴径固定式のほうが再現性高く剥ける場面が多くなります。


フジ矢(Fujiya) オートマルチストリッパ(ワイヤーカット・ストリップ・簡易圧着機能付) PP707A-200



多芯線は線ごとに太さが微妙に違うことがあり、固定穴径の工具だと合わないサイズが出てきます。自動調整式なら1本ずつ径を測らずに済みます。
| 型番 | PP707A-200 |
| 機能 | ワイヤーカット・ストリップ・簡易圧着 |
| 特長 | ストリップ線径自動調整タイプ |
プロが選ぶ理由:センサー配線など多芯線を傷つけずに剥くため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:多芯線は太さがまちまちで、自動調整式でないと芯線を傷つけるリスクが上がります。
フジ矢PP707A-200は、線径を自動調整しながら被覆を剥くオートマルチストリッパーです。ワイヤーのカット・ストリップに加え、簡易的な圧着機能も備えています。


制御盤内ではセンサーや検出器まわりの多芯線を扱う場面があり、線種によって太さが微妙に異なります。自動調整式であれば、線が変わるたびにダイヤルを合わせ直す手間を減らせます。


ベッセル(VESSEL) ケーブルストリッパー〈適用電線:シース外径4〜16mm〉 3700KS



ケーブルの外側のシースだけを剥くには、内部の芯線まで切ってしまわない刃の出し量調整が必要です。ダイヤル式なら太さに合わせて安全に調整できます。
| 型番 | 3700KS |
| 適用電線 | シース外径4〜16mm |
プロが選ぶ理由:ケーブル外装(シース)だけを内部の芯線を傷つけずに剥くため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:シースの内側にはさらに芯線の被覆があるため、刃の出し量を誤ると中の線まで傷つけます。
ベッセル3700KSは、シース外径4〜16mmのケーブルに対応するケーブルストリッパーです。ダイヤルを回して刃の出し量を調整し、ケーブルの周りを一周させてシースだけを剥きます。


制御盤への引き込みケーブルや多芯シールド線は、外側のシースと内部の芯線被覆の二重構造になっています。刃の出し量を調整できるダイヤル式なら、シースだけを狙って剥き、内部の芯線を傷つけずに済みます。


切る・つかむ・締める汎用工具
クニペックス(KNIPEX) スーパーニッパー クランプ付(SB) 7813-125



制御盤の中は他の端子や基板がぎっしり詰まっています。切った電線の切れ端が盤内に落ちて後で見つからない、というトラブルを防ぐためにクランプ付きを選びました。
| 型番 | 7813-125(SB) |
| 切断能力 | 軟線φ0.2〜1.6mm/中硬線φ1.0mm |
| 全長/質量 | 125mm/57g |
| 特長 | ワイヤーキャッチ付き(切断した電線が飛び散らない)、刃硬度約HRC54 |
プロが選ぶ理由:切断片が盤内に飛び散らないため/制御盤での使用頻度:高い/なぜ:ワイヤーキャッチ(クランプ)機能で切断片を保持でき、狭く部品が密集した盤内での短絡リスクを抑えられます。
クニペックス7813-125(SB)は、電子機器・精密機器向けの精密ニッパーです。最大の特長はワイヤーキャッチ機構で、切断した電線の切れ端をクランプして保持するため、周囲に飛び散りません。


全長125mmとコンパクトで、盤内の狭いスペースでも取り回しやすい工具です。切断能力は軟線φ0.2〜1.6mmと、制御盤の信号線・小型電源線の範囲を十分にカバーします。


ホーザン(HOZAN) ケーブルカッター IV線22mm²も片手で軽く切断可能 N-18



ニッパーで太めの電線を切ろうとすると刃こぼれや切り口の潰れにつながります。切断専用のケーブルカッターを分けておくと、太い電線もきれいに切れます。
| 型番 | N-18 |
| 切断能力 | VVF線2.0mm×2芯/IV線22mm² |
プロが選ぶ理由:ニッパーの切断能力を超える太さの電線に対応するため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:ニッパーは細い信号線・小型電源線向けで、IV線やVVF線のような太めの電線を無理に切ると刃を傷めます。
ホーザンN-18は、IV線22mm²まで片手で切断できるケーブルカッターです。VVF線2.0mm×2芯までにも対応し、電線切断専用の刃形状で潰れの少ない切り口に仕上がります。


制御盤への引き込み線や主幹配線では、信号線用のニッパーでは対応できない太さの電線を切る場面があります。切断専用工具を分けておくことで、ニッパーの刃を傷めずに済み、切り口もきれいに仕上がります。


フジ矢(Fujiya) ロングラジオペンチ 先細仕様(プライヤー機能付) 170mm 380-170



端子台の隙間や機器の裏側など、指が入らない場所で線を保持したり曲げたりする場面が多くあります。先が細く長いタイプなら奥まで届きます。
| 型番 | 380-170 |
| 全長 | 170mm |
| 特長 | 先細仕様、プライヤー機能付 |
プロが選ぶ理由:盤内の狭い隙間で電線を保持・成形するため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:先端が細長いため、密集した端子台の奥や機器の隙間でも電線を掴んだり曲げたりしやすくなります。
フジ矢380-170は、先細仕様で170mmのロングラジオペンチです。プライヤー機能も備えており、電線の保持・成形からちょっとした把持作業まで1本でこなせます。


制御盤内は端子台や機器が密集しており、指では届かない隙間で電線を軽く曲げたり位置決めしたりする場面が頻繁にあります。先が細長いラジオペンチがあると、圧着や結線の前の下準備がしやすくなります。


フジ矢(Fujiya) 万能電工ペンチ(ファストン端子・裸圧着端子両用) FA106



小規模な追加配線や出先での応急対応では、圧着・切断・被覆剥きを1本で済ませたい場面があります。専用工具ほどの精度は求めない用途向けに、携行性重視の1本を加えています。
| 型番 | FA106 |
| 全長 | 240mm |
| 機能 | ファストン端子・裸圧着端子の圧着、切断、被覆剥き |
プロが選ぶ理由:携行性を優先する場面での兼用工具として/制御盤での使用頻度:中/なぜ:専用工具を毎回持ち歩けない小規模な追加配線や出先対応では、1本で複数工程をこなせる万能ペンチが役立ちます。
フジ矢FA106は、ファストン端子・裸圧着端子の圧着に加え、切断・被覆剥きもこなせる万能電工ペンチです。刃部は研磨仕様で、切れ味を保ちながら複数機能を1本に集約しています。


制御盤本体の組立では専用工具を使い分けるのが基本ですが、盤外への引き出し線の追加や現場での応急対応では、専用工具一式を持ち出すほどではない場面もあります。そうした場面で1本あると効率的な工具です。


クニペックス(KNIPEX) コブラ(マチック) ウォーターポンププライヤー 8711-250



配管金具やケーブルグランドの締付など、ドライバーやスパナでは対応しにくい丸物・角物をつかむ場面があります。開き幅をワンタッチで調整できるタイプを選んでいます。
| 型番 | 8711-250 |
| 全長 | 250mm |
| 特長 | プッシュボタン式で開き幅調整 |
プロが選ぶ理由:六角ボルトから配管金具まで幅広い形状をつかむため/制御盤での使用頻度:低い/なぜ:制御盤内の配線工程そのものでは出番が少ないものの、盤の取付金具やケーブルグランドの締結で必要になります。
クニペックス8711-250(コブラマチック)は、ボタン一つで開き幅を調整できるウォーターポンププライヤーです。平行に近い顎の形状で、六角ボルトのような角物もつかみやすい構造になっています。


制御盤製作そのものでは配線作業が中心になるため出番は多くありませんが、盤の取付金具やケーブルグランドの締結、配管金具の調整といった周辺作業で必要になる場面があります。


トップ工業(TOP) ガタ無しモンキーレンチ ワークワイド 口開き0〜38mm HM-38M



モンキーレンチはあごにガタがあると、締めるたびに微妙に角度がずれてボルトの角を傷めやすくなります。ガタ無し設計なら盤の取付作業でもストレスがありません。
| 型番 | HM-38M |
| 口開き | 0〜38mm |
| 特長 | ガタ無しウォーム機構搭載 |
プロが選ぶ理由:盤の取付・固定作業でボルトの角を傷めずに締めるため/制御盤での使用頻度:低い/なぜ:ガタのあるモンキーレンチは締めるたびに顎が動いてボルトの角を舐めやすく、盤の取付では強く締める場面もあるため精度が重要になります。
トップ工業HM-38Mは、口開き0〜38mmに対応するガタ無しモンキーレンチです。独自のウォーム機構であごのガタつきを抑え、最後まで安定して締め切れます。


制御盤製作では配線作業が中心ですが、盤の設置・固定や配管金具の締結でモンキーレンチを使う場面があります。ガタがあると締めるたびに角度がぶれてボルトの角を傷めやすいため、精度の高いタイプを選んでいます。


ねじ締め・トルク管理の工具
マキタ(Makita) 充電式ドライバドリル 10.8V1.5Ah バッテリ・充電器・ツールバッグ付 DF033DSHS



端子台のねじや機器の取付ねじは数が多く、手回しドライバーだけでは時間がかかります。トルク調整機能があれば締めすぎで端子台を傷める心配も減らせます。
| 型番 | DF033DSHS |
| 電圧/容量 | 10.8V/1.5Ah |
| クラッチ | 20段階 |
| 付属品 | バッテリ・充電器・ツールバッグ |
プロが選ぶ理由:数の多いねじ締めを効率化しつつ締めすぎを防ぐため/制御盤での使用頻度:高い/なぜ:クラッチのトルク調整機能を使えば、締めすぎによる端子台の破損やねじ山のなめを防ぎながら作業を速められます。
マキタDF033DSHSは、10.8V1.5Ahの充電式ドライバドリルです。20段階のクラッチでトルクを調整でき、LEDライトも備えているため盤内の暗い場所でも作業しやすくなっています。


制御盤製作では機器の取付ねじ・端子台の固定ねじなど、ねじを締める工程の数が多くなります。手回しドライバーだけで済ませると時間がかかるうえ力加減も安定しません。トルク調整付きの充電ドライバーがあると、速度と安定した締め付けを両立できます。


Wera(ヴェラ) 917 SPH 貫通プラスドライバー(2×100) 017010



固着したねじや、充電ドライバーが入らない狭い場所のねじは、手締めで対応することになります。食いつきの良さと、いざという時に打撃で緩められる貫通構造を優先しました。
| 型番 | 917 SPH(017010) |
| サイズ | プラス2×100mm |
| 特長 | 貫通(頭をハンマーで叩ける)構造 |
プロが選ぶ理由:固着したねじや充電ドライバーが入らない箇所の手締めに対応するため/制御盤での使用頻度:高い/なぜ:先端形状の食いつきが良く、固着したねじは頭を軽く叩きながら緩められる貫通構造になっています。
WERA 917 SPH(017010)は、プラス2×100mmサイズの貫通ドライバーです。刃先形状の食いつきが良く、ねじ頭をなめにくい設計になっています。貫通構造のため、頭をハンマーで軽く叩いて固着を緩めることもできます。


制御盤製作では、充電ドライバーが入らない狭い隙間や、経年で固着した既設機器のねじを手で締め直す場面があります。食いつきの良さと貫通構造を両方備えた1本があると、こうした場面で頼りになります。


Wera(ヴェラ) マイクロドライバーセット 05118150001





リレーや端子台の小さなねじは、通常サイズのドライバーでは刃先が合いません。精密ドライバーセットを別に用意しています。
| 型番 | 05118150001 |
| セット内容 | プラス00・0、マイナス1.8・2.0・2.5・3.0(計6本) |
プロが選ぶ理由:リレー・端子台の小さなねじに刃先を合わせるため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:小型の機器や端子台のねじは刃先サイズが小さく、通常サイズのドライバーでは合わずカムアウト(刃先が抜け出してねじ山をなめる現象)を起こしやすくなります。
WERA 05118150001は、プラス2種・マイナス4種の計6本からなるマイクロドライバーセットです。ブラックポイントチップにより刃先の食いつきが高く、小ねじでもなめにくい設計です。


制御盤内にはリレーや小型端子台など、通常サイズのドライバーでは刃先が合わない小ねじが多数あります。サイズの合わないドライバーで無理に締めるとカムアウトを起こしやすいため、専用の精密セットを分けておくのが確実です。


アネックス(ANEX) 電気工事用トルクアダプターセット ATA-S1(M3/M3.5/M4/M5/M6)



端子台のねじは締めすぎると割れたり、逆に緩すぎると接触不良になったりします。メーカー公式が「配電盤での使用を想定」と明記している数少ない製品で、サイズごとに差し替えるだけなので初心者でも扱いやすいです。
| 型番 | ATA-S1(セット、単品はATA-M3/M3.5/M4/M5/M6) |
| プリセットトルク | M3=0.7N・m/M3.5=1.1N・m/M4=1.4N・m/M5=2.6N・m/M6=4.6N・m(各±10%) |
| 想定用途 | メーカー公式が「配電盤での使用を想定」と明記(他用途では非推奨) |
| セット内容 | トルクアダプター5本+ラチェットハンドル+替えビット+ケース |
プロが選ぶ理由:端子台の締めすぎ・緩みを両方防ぐため/制御盤での使用頻度:締結のたび使うが工具自体の登場率は他より低い(サイズ交換のみ)/なぜ:手ルク(体感)だけでの締結は端子台の破損や緩みの再発リスクがあり、初心者ほど恩恵が大きいためです。
ANEX ATA-S1は、ねじサイズごとに固定トルクをプリセットしたトルクアダプターセットです。可変ダイヤル式のトルクドライバーと違い、サイズに合ったアダプターに差し替えるだけでよいため、Nm値を読んだり設定したりする手間がありません。メーカー公式ページにも「設定トルク値は配電盤での使用を想定しています」と明記されており、制御盤の端子台締結を名指しした数少ない製品です。


端子ねじの締め付けトルクは、端子台メーカーや電源機器メーカーが公開している目安値でもM3で0.36〜0.7N・m程度、M4クラスで1.0〜1.5N・m前後という幅があります(メーカー・想定用途によって前提が異なるため、最終的には使用する端子台メーカーの指定値に従うのが原則です)。手ルクだけに頼らずトルク管理を導入することで、締めすぎによる端子台の破損や、緩みによる接触不良の再発を防ぎやすくなります。


検査・小物の工具
ホーザン(HOZAN) ピンセット 精密型 完全非磁性 全長120mm P-670



マークチューブ(線番を表示する小さなチューブ)の差し込みや、小さなワッシャー・ねじの拾い上げなど、指では扱いにくい細かい作業が制御盤にはよくあります。非磁性タイプを選べば、磁気に弱い部品の近くでも気にせず使えます。
| 型番 | P-670 |
| 全長 | 120mm |
| 開き幅 | 6mm |
| 先端幅 | 0.15mm |
| 特長 | 完全非磁性、直型 |
プロが選ぶ理由:盤内の細かい部品を傷つけず扱うため/制御盤での使用頻度:中/なぜ:マークチューブの差し込みや小径ねじ・ワッシャーの拾い上げなど、指では扱いにくい細かい作業が制御盤には多くあります。
ホーザンP-670は、全長120mm・先端幅0.15mmの精密型ピンセットです。完全非磁性のため、磁気センサーや精密機器の近くでも影響を気にせず使えます。


制御盤内ではマークチューブの差し込みや、リレーソケットの小さな端子・ねじの取り扱いなど、指先では難しい細かい作業があります。1本あると、こうした場面での作業精度が上がります。


サンワ(SANWA) デジタルマルチメーター PM-3





配線が終わった直後に導通と絶縁を確認できないと、通電してから初めて配線ミスに気づくことになりかねません。制御盤製作の最後の確認として1台用意しています。
| 型番 | PM-3 |
| DC電圧レンジ | 400m/4/40/400/500V |
| 特長 | プローブ片側を本体に固定できるクリップ機構、8.5mm薄型 |
プロが選ぶ理由:配線完了後の導通・絶縁確認を制御盤製作の工程内で完結させるため/制御盤での使用頻度:中(検電・現場測定全般はこの記事の対象外)/なぜ:結線後に導通と絶縁を確認しないまま通電すると、配線ミスの発見が遅れます。
サンワPM-3は、500V耐圧のポケットタイプデジタルマルチメーターです。プローブの片側を本体に固定できるクリップ機構があり、片手でも測定しやすい構造になっています。


この記事で扱うのは、制御盤製作の工程の最後にあたる導通・絶縁確認としての使い方に絞っています。検電作業や現場での電圧測定まで含めた工具の選び方は、生産設備の電気配線を幅広く扱った関連記事生産設備の電気配線に必要な工具は何?で解説しているので、そちらもあわせてご覧ください。


アクセサリー:予備の裸圧着端子(Y形)
ニチフ端子工業(Nichifu) 裸圧着端子 Y形(100P) 1.25Y3.5K



圧着工具があっても、端子そのものの予備がないと現場で手が止まります。よく使うY形端子は消耗品としてまとめ買いしておくと安心です。
| 型番 | 1.25Y3.5K |
| 入数 | 100本 |
ニチフのY形裸圧着端子は、アース線や配線の分岐でよく使う消耗品です。圧着工具と違って使うたびに減っていくため、まとめて備えておくと現場での手戻りを防げます。


100本入りのため、1回の発注でしばらくは在庫切れの心配なく使えます。


まとめ
見送った品目とその理由
検討はしたものの、この記事では商品として紹介しなかった品目と、その理由をまとめておきます。
【線番・マークチューブの印字機】制御盤では配線の識別にマークチューブ(線番を表示する小さなチューブ)を使う場面がありますが、印字用の本体機は初期投資が大きく、個人が購入しやすい手頃な製品を確認できませんでした。表示自体は手書き対応や汎用ラベルライターでも当面代替できるため、この記事では商品としては紹介せず、判断基準の説明にとどめます。
【配線ダクト・DINレール加工用の専用カッター】制御盤内の配線ダクトを加工する専用工具を探しましたが、見つかったのは主にエアコン配管用のダクトカッターで、対象が異なる製品でした。誤った製品を案内すると実際の作業で使えないため、この記事では見送ります。加工そのものは、樹脂用のニッパーやのこぎりで代用している現場も多い工程です。
現場でやりがちなミス
【ミス1】フェルール端子・裸圧着端子・絶縁被覆付き端子を同じ圧着工具で兼用しようとする、というものです。ダイスの形状は端子の種類ごとに専用設計になっているため、代用すると圧着面が均一にならず、後から緩みや発熱の原因になります。工具を増やすのは手間ですが、端子の種類が変わったら工具も変える、という原則を崩さないことが結局は近道です。
【ミス2】端子台のねじを「手ルク(体感)」だけで締め、増し締めのつもりで力をかけすぎて端子台を割ったり、ねじ山をなめたりする、というものです。逆に緩すぎれば接触不良につながります。トルクアダプターを使う、または端子台メーカーの指定トルクを事前に確認しておくことで、この手のトラブルはかなり防げます。
制御盤製作でプロが選ぶ工具は、端子処理・被覆処理・切る/つかむ/締める・検査という工程ごとに役割の異なる20点です。数を絞って済ませるのではなく、工程ごとに専用工具を分けることが、圧着不良や締めすぎといったトラブルを防ぐいちばんの近道です。生産設備の電気配線を幅広く扱った関連記事生産設備の電気配線に必要な工具は何?とあわせて読むと、盤内外を通した工具構成の全体像がつかめます。


















